小樽運河に面する歴史的建造物の北海製罐株式会社第3倉庫(港町4)を舞台に、林立する人体オブジェが夜間照明でくっきり浮かび上がり、幻想的な光景が演出されている。
7月21日(土)から29日(日)までの日程で開かれている「第3回小樽/北のウォール街アートプロジェクト2012」は、坂牛邸など小樽の歴史的建造物の保存・再生・運用に取り組んでいる、NPO小樽ワークス(遠藤謙一良代表)が主催している。
運河の浅草橋街園で開かれている音楽イベントの曲が聞こえる中、大正13年竣工の同社第3倉庫の外壁をアートスペースに一変させ、運河の水面を眺める47体の「人」の黒い影が浮かび上がっている。
長い歴史を生き延びて現在も活用されている工場倉庫が、3人のアーティスト(山田良・萩原由美乃・藤田元輝)たちの手によって、新たな息吹を与えられ、闇の中でその存在意義を訴えている。
小樽ワークスでは、「小樽に宿すかつての記憶と活気について喚起する『人』をテーマにした環境芸術作品です。現存する倉庫建築は、長きにわたり小樽の歴史の一端を担ってきました。そのファサードは、働く人々によって形作られてきたと言うことができるでしょう。林立するオブジェ群は、人体の影もしくは残像のようでもあります。一言では言い表すことのできない小樽の深い歴史や、人々の思いを象徴するかのように佇みます」とテーマを語っている。
小樽運河の夏の爽やかな風を感じながら、夕暮れ時から夜にかけて浮かび上がる「人」の黒い影を、鑑賞できる絶好の機会となっている。
なお、小樽ワークスでは、7月26日(木)19:00~21:00、「小樽における歴史的建造物と環境芸術の可能性について」のアーティスト・トークを坂牛邸(入船5-8-15・小樽公園隣)で開催する。入場無料・申込不要。
◎NPO小樽ワークスHP
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