商大飲酒死亡事故 「象牙の塔」の調査報告書公表

shoudai1.jpg 小樽商科大学(緑3・山本眞樹夫学長)は、5月に同学構内で起きたアメフト部の未成年学生の飲酒死亡事故で、学内調査委員会(委員長・大矢繁夫副学長)が作成した調査報告書を、記者会見を開いて公表した。
 6月27日(水)18:00から、商大事務棟で開かれた記者会見には、テレビ7社や新聞各社が揃い、マスコミの関心の深さをうかがわせたわせた。会見には、山本学長・大矢副学長・和田健夫副学長の3人が出席し、調査報告書を説明した。
 「アメリカンフットボール部の飲酒事故に関する調査報告書」と題された6月19日付の報告書の表紙には、太ゴシック体の「取扱注意」の文字が躍る仰々しさで、情報公開に逆行する商大の及び腰の姿勢があらわになっている。shoudai2.jpg
 同調査書は、事件に関わった学生の処分の判断材料のために作成されたとされているが、「未成年飲酒および学生らの過度の飲酒については、これまで大学および顧問から、注意勧告が数次にわたりなされている」と大学側の責任を回避する姿勢がうかがわれる。
 この上、飲酒強要の有無についても「未成年1年生を含む多くの学生が、自分たちは自発的に進んで飲酒したと述べる」とし、「先輩に好かれたいから、あるいは、酒が飲めることを誇示したいがため、強い酒を大量に、時にはそれを一気に飲む傾向があったことも明らか」としながらも、「本件パーティーにおいて飲酒を求める明示的で強い心理的な強制があったとは言えない」と結論付けている。
 「通常の意味における強要と評価し難いと言わざるを得ない」ので、「アメフト部の主将・副将や4年生部員ら上級生も、漫然と未成年新入生らに飲酒を許容し、または、勧め、その結果、本件事故を招いた責任は免れない」としながらも、「学籍剥奪(退学)等厳罰には至らないとするのが妥当である」としている。また、大学当局の責任についての問いには、「給与カット(減俸)がありうる」と答えた。shoudai3.jpg
 今回公表された調査書は、「昨日(26日)、遺族に説明にしたが、強い不満を表明した」ことも明らかにしたが、死亡した1年生が、自ら自発的に飲酒して死に至ったととられかねない調査報告書に、遺族が強い不満を表明することは当然の道理であり、遺族からの納得が得られる調査報告とはなっていない。
 「象牙の塔」が出した甘い調査報告書は、今後も論議を呼ぶことになろう。
 報道資料[アメリカンフットボール部の飲酒事故に関する調査報告書]
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