「発達障害について」の講演会が、2月15日(水)14:00から、小樽市教育委員会(花園5)3階第2会議室で開かれた。学校関係者や父兄、約80人が集まった。主催は小樽市学校保健会。
近年、自閉症やアスペルガー障害、ADHD(注意欠陥・多動性)、LD(学習障害)といった発達障害が増加している。医療法人北仁会いしばし病院・古川美盛医師(36歳)が講師となり、アスペルガー障害を中心に話をした。
「発達障害は、対人関係、コミュニケーションの障害が目立ち、脳の部分的機能が低下しているために起こり、親のしつけや環境が問題ではない。アスペルガー症候群は、言語や知的発達において障害はなく、特殊な分野で活躍している人も多い。社会人の中で組織に適応できず、資格さえあればなんとかなると過ごしている人も多い。
乳児期から幼児期は、視線が合わない、表情が乏しい、環境の変化にパニック。3歳から4歳時は、基礎的な言語理解や表出能力を獲得するが、社会性に乏しい。
小学生低学年は、融通が利かない。周囲を意識し、状況判断が少しずつできる。小学生高学年は、回避的だが、真面目で規則を守る。社会的に未熟だが、明るく可愛がられる。
中学生では、些細なことで怒る。引きこもり、テレビ、読書などひとりで静かに生活する。高校生では、自分の考え計画を立てることまではできない。突然の質問のパニック。
就職は、営業は苦手。製造業やコンピューター関係は大丈夫。無断欠勤もなく真面目で緊張して過ごすことが多い。犯罪の発生率は障害のない人と同じ。
アスペルガーとの接し方は、短くゆっくりと話す。ルールを守る。パニックになったら刺激しない。怒られると不安になる。事実を伝え信頼関係を築くと、真面目な人が多い。
問題点は、孤立、クラスに溶け込めない。凝り性で時間配分ができない。ゲームをすると何時間でもしている。ひとつのことに興味を持ち、熱中してしまう傾向」と話した。
注意欠陥/多動性障害ADHDについては、
「集中できないタイプと落ち着きがないタイプがある。ADHDの子ども40〜90%に学習上の困難がある。30%は、学習障害を合併。年齢とともに多動、衝動性は改善するが不注意は続く。解決策は、場面で会話のボリュームを教え、ゲームで負けても騒がなかったら褒める。何をここにしまうか、写真を貼り、片付けられるようにする。治療方法は、薬物療法で、80%効果がある。登録医のみ処方可能。家族が疲れ、共倒れするケースが多い。相談窓口を利用したり、1〜2ヶ月では解決できないが、5〜10年すると成長が分る」
その後、質疑応答となり、
「小学2年生で言葉の教室へ通っているが、今後、医療機関へ行ったほうが良いか」の質問に、「支援センターへ電話をし、紹介を受け、本人が行けるようなら行くが、小2なので様子を見ても良い」
「漢方は良いか」の質問に「強い薬は副作用があるが、漢方は副作用がなく、積極的に取り入れている医師が多い」などと続いた。
また、参加者の男性教諭は「いろいろな思いでここへ来ていると思う。年々増えているため、教員も研修が必要で、もっと知りたい人が多いので、時間帯などを考慮して欲しい」との要望があった。