巨額新病院建設で市議会に新構図 「一新小樽」の風吹く



 開会中だった小樽市議会(横田久俊議長)第4回定例会は、12月16日(金)に最終日を迎え、13:00から本会議を開いた。予算特別委員会など各委員会の委員長報告と討論・採決が順次行われた。
 この12月議会では、137億円もの巨額の新市立病院建設のための補正予算に関心が集まった。
 従来の小樽市議会では、自民・公明・民主市民などの与党と共産党の野党との対立構図で、物事が一方的に決められてきた。しかし、今回は、野党の共産党が、巨額の新病院建設賛成に回ったため、これまでの市議会構図が大きく揺らいだ。
 この中で、統一地方選後に新たに誕生した4人の市議(成田祐樹・吹田友三郎・中村岩雄・安斎哲也)による新会派「一新小樽」(成田祐樹会長)が、絶対多数の与党(自公民)と少数野党(共産)との間に入り、与野党一致の巨額の新病院建設の予算議案の否決に回り、市議会にこれまでにない「一新」の風を吹かせた。
 予算特別委員長報告の討論に立った「一新小樽」の成田祐樹会長は、「新病院を作るのに92億5,500万円という、果たしてこれだけの予算額が必要なのでしょうか?民間病院に比べて、建設費用に対する努力が少なかったのではないでしょうか?また、予算特別委員会の答弁にもありましたが、過疎債の来年度以降の動向も非常に不透明で、市民の負担額が増えることも考えられます。
 結果的にこの負担をするのは、病院の医療スタッフと市民なのです。この過大な見積りには、違和感を強く感じざるを得ません。以上を持って、議案第5号には否決をし、病院の建設反対ではなく、費用の見直しを強く求め、各会派のご賛同をお願いしまして、討論といたします」と述べ、市民に巨額の負担を強いる中松市政の新病院建設に、一石を投じた。
 成田市議は、「新病院の建設には賛成だが、巨費をかけ、市民に大きな負担をかける新病院ではなく、その規模・費用を見直し、コンパクトなものにすべきだというのが、市民の大半の意見だと思う。会派の中では、ベテラン議員との間で、半年をかけて徹底的に議論を重ねてきた。その結果、自民党籍にいたことのある議員にもご理解をいただき、会派全員で否決になった。今回は野党がいなくなった事態の中で、市民の良識を示すことができて良かった」と話した。
 最終日の市議会では、提出された議案議案19件・報告2件等は、委員長報告の通り、全会一致か賛成多数で、可決・承認された。
 一般会計補正予算では、24時間対応の定期巡回・随時対応サービス等推進事業費1,000万円(国庫補助金)、認定こども園整備事業費補助金2億 671万円(道補助金1億3,973万7,000円・市債6,690万円)、新夜間急病センター建設事業費3,857万3,000円など計3億4,163万1,000円を計上。
 また、新市立病院のための量徳小学校解体費や建設工事費・外構工事費など、93億9,000万円の複数年での予算措置も盛り込まれた。
 国保会計は返還金670万6,000円、介護保険会計は事務処理システム改修経費・啓発活動経費など278万円を計上。後期高齢については、一般管理費・納付金で642万7,000円の減額補正とする補正を提出した。このほか、小樽市公平委員会委員や職員懲戒審査委員会委員の選任、人権擁護委員候補者の推薦など人事案件も計上された。
 これら議案19件と報告2件は、賛成多数または全会一致で可決・承認。新市民プールの早期建設を求める陳情や西陵中学校の存続を訴える陳情は、賛成多数で継続審査となった。
 国や道に要望する意見書では、北海道新幹線の建設促進を求める意見書、日本海海域におけるサクラマス資源造成に関する意見書、原子力発電などのエネルギー政策の見直しと自然エネルギーの推進を求める意見書、UPZの範囲の拡大を求める意見書など16件が可決となった。
 今議会では、東日本大震災による市内経済への影響に関する調査特別委員会と政治資金規正法違反問題に関する調査特別委員会が、それぞれ決議文を可決し、特別委員会を閉会することを決めた。