小樽市総合博物館(手宮1)の大鐘卓哉学芸員が、蜃気楼研究の成果で、平成23年11月17日(木)、日本気象学会2011年度秋季大会(名古屋大学)で、日本気象学会奨励賞を受賞し、賞状とメダル(雪と稲妻をデザインした銅製の銀いぶし)を獲得した。
大鐘学芸員は、以前より地球上の不思議な現象に興味を持ち、地元小樽では、蜃気楼を見る事ができる環境にあることから、1997年に研究を始め、1998年に石狩湾の蜃気楼観測に成功した。その後、14年に渡り観測を続け、研究してきた。
日本気象学会奨励賞とは、「研究を本務としない環境において、気象学・気象技術の関する、優秀な調査・研修を行っているもの、あるいは初等・中等教育において優れた気象教育を行っているもの」を、奨励賞受賞候補者推薦委員会が選定し、理事会で決定される。
対象となった研究題目は、「蜃気楼の観測とその発生機構に関する調査研究、および蜃気楼を媒体とした市民への気象学の啓発普及活動」。認定理由は、「日本全国の蜃気楼を研究し、石狩湾では発生機構を研究し、観測成果を市民を始め、多くの人々に紹介した。石狩湾蜃気楼情報ネットワークを2010年に設立し、発生を予報し、会員に配信している」などの業績が認められた。
受賞の報告を受けた大鐘学芸員は、「努力が報われたと思い、研究を続けて良かった。この受賞は、いろいろな仲間のお陰で感謝している。アマチュアで気象に関する研究をしている人は少ないが、その人達の励みになれは良い。石狩湾蜃気楼情報ネットワークの成果は大きく、これからも今まで通り、沢山の人に蜃気楼への興味を持ってもらいたい。気象や自然現象にも興味を持ってもらえる人たちを増やしていきたい。気象観測の普及は、博物館学芸員の使命でもある」と受賞を喜んでいた。
この受賞を記念して、日本気象学会奨励賞受賞記念展「蜃気楼研究のあゆみ」が、平成23年11月26日(土)から平成24年1月9日(祝・月)まで小樽市総合博物館本館(手宮1)2階回廊で開かれる。
主な展示内容は、日本気象学会奨励賞メダル・賞状、1998年4月10日の小樽沖蜃気楼の初観測写真、2001年5月31日の大規模蜃気楼写真、2008年6月8日の蜃気楼と、6月23日の観測史上最大規模の小樽沖蜃気楼と、同じ日に観測した変形太陽写真、2011年7月6日雄冬岬の大規模蜃気楼写真と、5月26日の小樽ドリームビーチからの変形太陽の写真など。
2011年には、16回の蜃気楼を確認し、富山県の魚津を越える観測回数を得る事ができた。石狩湾蜃気楼情報ネットワークでは、現在50名の会員がおり、4月から7月までの期間、発生予報の配信をしている。研究が進み、蜃気楼が発生する典型的な気象学的機構が分かるようになるが、今後は、典型的な事例とは異なる事例の解明を行い、さらに研究を発展させる事を期待している。
小樽市総合博物館 手宮1-3-6
休館日:火曜日・年末年始(12/29-1/3)
入館料:冬期一般300円、高校生・市内在住70才以上の方150円、中学生以下無料
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