全日空の機内誌「翼の王国」10月号に、北海道建築の父・田上義也氏の特集が組み込まれている。この中で、同氏が設計し小樽公園西側に現存する「坂牛邸」(入船5)が大きく紹介されている。
田上氏は、1899(明治32)年に栃木県に生まれ、アメリカの建築家フランク・ロイド・ライトに弟子入りし、建築家の道へ。帝国ホテルの設計に参加し、1923(大正12)年に北海道へ渡った。道内では、映画「Love Letter」のロケ地となった坂別邸(小樽市見晴町・2007年に焼失)や札幌の旧小熊邸などの設計が知られている。
小樽に残る坂牛邸は、田上氏が28歳の時に設計した、小樽新聞社重役の坂牛直太郎氏の個人住宅(木造2階・225.81平米・1928年)。小樽公園西側の白樺林に面して立てられた。水平性を強調した美しい外観と、自然素材を生かした装飾が特徴のプレイリー・スタイル(北米の伝統的住宅建築様式の一つ)。八角形の部屋、広い玄関室など、モダンな洋館として小樽市民に親しまれている。詳しくはこちら
現在、NPO小樽ワークス(遠藤謙一良代表)が、同邸の保存・再生・活用を行っている。
「翼の王国」では、田上氏設計の坂牛邸(小樽)をはじめ、支笏湖ユースホステル、室蘭ユースホステル、札幌の旧小熊邸など7つの建物が紹介されている。小樽の坂牛邸は、これらの建物中でトップで紹介され、ページ数も全26ページの中で8ページと一番多い。田上氏の生い立ち、坂牛邸の概要、NPO小樽ワークスによる解説が、外観・八角形の部屋、ライト師の影響を受けたとされる窓の格子・家具などの写真とともに掲載されている。
同NPOによる保存活動が進められる中で、さらに小樽の坂牛邸が話題を集めている。
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