第65回読書週間の行事として、「物語と音楽のコンサート」が、10月30日(日)、小樽市立図書館2階視聴覚室で開かれた。参加者は45名。
たなかたかこ氏が、民族楽器(馬頭琴・5弦カンテレ・口琴)で奏でる異国の音色と、優しい語りに、聴衆は耳を傾けた。
たなか氏は、夫が馬頭琴奏者で、その伴奏でギターを弾いていたが、演劇活動やリポーター経験を活かし、「スウと白馬」の語りを頼まれたのがきっかけに、朗読や馬頭琴の演奏会など幅広い分野で活躍している。
今回は、3台の馬頭琴を持参。モンゴル国と内モンゴル自治区で作られた2種類。モンゴル国のものは、馬のしっぽの毛を束ねて、弦と弓に使用している。馬頭琴という名のとおり、棹の先には、馬の頭部の彫刻があり、作られた場所によって馬の顔が違う。
1曲目は、小学校の教科書にも載っている馬頭琴伝説「スーホの白い馬」。馬頭琴という楽器が生まれることにまつわる内容で、優しい語りと馬頭琴の演奏が行われた。2曲目は、モンゴル伝説「ジョノン・ハル」を馬頭琴独奏。
10年前にモンゴルで遊牧民生活を2週間した経験があり、食べ物が合わず食事が取れなかった事や、水をとても大切にしている事、夜は真っ暗になり、月明かりでトイレになるような場所を探した事などを話した。そこでは、馬頭琴は、宴会で演奏され、縁起の良い事に使われる。また、動物の音楽療法としても使われ、効果を得ている。
「ドンカラタラマー」や日本の曲「五木の子守唄」を演奏し、異国の音色の子守歌も紹介した。
次に口琴が紹介され、シベリアのサハ共和国では国の楽器とし、時報を口琴で知らせている。モンゴル民話「うさぎの話」を語りと口琴で演奏した。
そして、3つ目の楽器「5弦カンテレ」は、フィンランドの民族楽器で鉄弦を使用している。「古いワルツ」、「カレワラ〜鳥の歌」をカンテレで独奏、少し寂しいメロディーに、会場では耳を澄まし聞き入っていた。
最後にノルウェーの神話「りんごの木」の語りとカンテレの演奏。
「りんごの木が1本あった。その側に大きなもみの木があった。空に向ってどんどん伸びっていった。りんごの木は、もみの木を星に届いているようで羨ましく思う。自分も大きくなりたいと思う。でも、それは、みんな違っていいんだよ。りんごを切った切り口を見せ、あなたの星はここだよ」と、語りながら演奏した。来場者はそれぞれにその場面を想像しながら聞いていた。
この企画を担当した図書館の石塚さんは「前回は、朗読と語りを企画し、今回は、音楽を語りが一緒に聞けるという事で依頼した。初めて馬頭琴の音色を聞いた。ゆったりとした気持ちになり遊牧民の様子が浮かんできた」と感想を述べた。
余市から来た鈴木さんは「初めて馬頭琴やカンテレの音を聞いた。ゆったりとした静かな気持ちになり、語りも素敵だった」と満足していた。
たなか氏は、「喜んでくれる人に励まされ、うれしくなる。演奏会でのひとときを皆さんと共有したい」と話した。
同図書館では、読書週間記念行事として「篆刻で蔵書印をつくろう」を、11月9日(水)15:00から図書館2階視聴覚室で行う予定。
講師:酒井博史氏(日章堂印房)
材料費1,000円
11月1日(火)より申込み
問合わせ先:0134-22−7726 図書館まで