夜明け前の暗がりの妙見河口の小樽運河合流域。毎週土曜日、頭にヘッドライトをつけた胴付長靴姿の青年が、生活排水やポイ捨てなどで溜まったゴミをたった一人で拾い集めている。
2009(平成21)年3月に小樽商科大学を卒業した江別在住の湯谷拓朗さん(25)。在校中、よさこいサークル「翔楽舞」に所属し、演舞披露・練習のほか、地域のボランティア活動を行った。
卒業後も小樽に住み、札幌まで通勤。「お世話になった小樽に恩返ししたい。小樽は観光都市で、その中でも小樽運河はメインスポット。この運河が汚れていては観光客に悪い印象を与える」と、今年6月から妙見川河口の清掃を始めた。
毎週土曜日、早朝04:30から07:00まで、雨の日も風の日も続けた。「やってもやってもゴミが減らない」と、自ら土嚢袋を購入し、ゴミ袋の協賛を求めるなどし、異臭放つゴミを拾い上げ、孤軍奮闘した。
この努力が実り、活動は小樽市民にも徐々に知られるようになった。10月29日(土)には、20代の若者が中心となって作る団体「夢会」メンバーとイラストレーターのたかたのりこさんら5人が応援にかけつけ、湯谷さんとともに小樽運河に流れつくゴミを拾い集めた。これまでは一人で黙々と作業を行っていたが、この日は、夢を笑顔で語り合いながらの作業となった。
湯谷さんは、「小樽市内では、植樹運動や海岸清掃など様々なボランティア活動が行われているが、水が、山から川、川から海と巡る間に汚れてしまっている。運河は貴重な観光資源であり、歴史の深い、文化的な財産。運河や市内の河川を清潔・健全に保つことは、小樽に関わるすべての人々、生命にとって重要な課題。100年後の小樽、水がより美しく豊かになるよう、感謝と祈りを捧げる清掃活動をしている」と話す。
11月12日(土)10:00~11:30には、小樽運河や河川沿線を中心とした市街全域を対象とした「小樽運河クリーンプロジェクト~地域資源と心を磨き、100年未来へ祈りを捧げる~」を実施する。学生や社会人など様々な小樽市民の参加を呼びかけている。希望は、若者100人、社会人100人と意気込んでいる。
問合せ・申込みは、otarucanal.c.pro@gmail.com。