「旧手宮線マップ」完成 歴史物語る隠れ名所をアピール


temiyasenmap.jpg 北海道で最初に開通した鉄道路線旧手宮線周辺の文化財や隠れ名所を紹介するA4版の「旧手宮線マップ」が、このほど完成した。市民や観光客から「手宮線の周りにこんな隠れ名所があったのか」と好評を博している。
 マップを作成したのは、北海道内の蒸気機関車・鉄道車両の保存修復を目指す「NPO法人北海道鉄道文化保存会」(飯田勝幸理事長)。北海道の”ふるさと雇用再生特別対策事業”の助成を受けて実施する「ミュージアムコミュニケーター育成活用事業」の一環。
 小樽市総合博物館(手宮1)の「手宮線と北運河周辺の貴重な財産を伝えられるようなマップを作成して欲しい」との依頼を受け、2009(平成21)年6月からミュージアムコミュニケーターとして働く小樽っ子の鈴木あやさん(25)が取り組んだ。
 学芸員を目指していた鈴木さんは、小樽の歴史に興味を持ち、幼少の頃から頻繁に博物館を訪れていた。多くの観光マップが存在する市内で特色あるものを作成したいと、線路沿いを歩き、鉄道が利用されていた頃に使われていた道具や建造物を調査。
 これまであまりクローズアップされてこなかった小樽運河工事の際に使用された石切場や、馬ソリ用の踏切跡、人力が必要な列車切り替え装置など9つの「隠れ名所」をクローズアップし、マップの見所の一つとした。このほか、高架桟橋擁壁跡や手宮洞窟、機関車庫三号などの文化財を掲載。大正から昭和初期の高架桟橋と現在の高架桟橋跡を比べる写真も載せている。
 掲載する写真撮影とともに地図を描いたのも鈴木さん。「フリーソフトで作成していたが良い出来にならなかったので、一度も使ったことがないイラストレーターを独学して地図を描いた。プロの人から見たらなんでそんな使い方をするのかと思うかもしれない」と苦笑いを浮かべる。
 2年越しでようやく完成し、昨年12月にマップの印刷(4万枚)が上がり、現在、博物館など観光施設で配布している。同保存会の清水道代常務理事は、「旧手宮線を歩くと面白い。小樽市民も分からない貴重な建造物や名所があるので、このマップとともに直接足を運んでその魅力を知ってもらいたい」と話している。
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