小樽前浜のにしんの刺し網漁が、10日(月)に解禁した。11日(火)には、小樽市漁業協同組合の地方卸売市場(色内3)で初セリが行われ、市民の台所へ運ばれることになった。
小樽のにしん漁は、明治から大正にかけて最も盛んに行われ、かつての小樽の繁栄を支えた。にしん漁のピークを迎えた1897(明治30)年頃の年間漁獲高は、9万トン(小樽前浜のみ)もあった。1935(昭和10)年以降、海水温の変化や乱獲なのか原因は定かではないが鰊が激減し、小樽の鰊漁は実質的に終わった。
ピークだった明治30年頃と比べると雲泥の差があるものの、1996(平成8)年からの北海道によるにしん放流事業が功を奏し、近年の年間漁獲高は、2007(平成19)年220トン、2008(平成20)年121トン、2009(平成21)年555トン、2010(平成22)年373トンと増えている。最近は、毎年2月に、産卵期を迎えたにしんが大群で浅瀬に押し寄せて産卵し、海が白子で乳白色に染まる”郡来(くき)”の現象が起こり、漁業関係者をはじめ市民を喜ばせている。
今年の初日は、1,900箱(約9.5トン・1箱5kg)のにしんが場内に並んだ。1番手の特大クラスが744箱、2番手931箱、3番手125箱、4番手90箱、5番手9箱と、大中が大半となった。卸売業者や買受人が、高く積まれたにしん箱を囲み、威勢良く次々にせり落としていた。
昨年の初日は、解禁日翌日に祝日があったため2日分の水揚げとなったことから4,200箱(21トン・1箱5kg)だった。漁組では、「解禁後1日で1,900箱だから昨年並みで悪くはない」としている。
漁組冷凍事業部・中山登部長は、「数は昨年並みだが、こっこがあまり出ておらず、数の子が果肉していないから加工屋さんにはいかないで鮮魚として扱われると思う。今年も大漁を期待したい」と話していた。
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