住民訴訟・原告が控訴断念 市民オンブズマンで市政監視


 新市立病院の基本設計中断を巡る住民訴訟で、札幌地裁から請求を棄却された原告の松浦光紀さん(64・稲穂在住)は、11月25日(木)、市政記者クラブで会見を開き、「先般の判決については、控訴することを断念します。新たに、市政を監視するために、小樽市民オンブズマンを結成する」とした。
 松浦さんは、2008(平成20)年8月、小樽市が発注・中断した築港地区での新病院建設の基本設計委託業務で、「市長及び副市長は解約料として2,581万円を支払ったことで市に損害を与えたので、連帯して同額を市に返還させる措置を求める」と監査請求を行った。
 同年10月、この請求が、市監査委員から棄却されたことを受け、今度は、市長を相手に住民訴訟を起こした。今年11月11日(木)の判決で、「住民訴訟において問題とすべきは財務会計上の行為の当・不当ではなく、適法・違法である。原告の指摘は、本件契約締結行為の財務会計上の違法を問う議論としては不足しているといわざるをえないのである」と棄却された。
 この判決に対し、「病院の基本設計を中止したことによる費用として小樽市から支払われた2,581万円を市長に返還するよう求めた裁判の判決について、残念ながら私達の請求は認められませんでした」と述べた。
 しかし、「判決書を精査したところ、その内容については、私の主張が認められたところもある」とし、「健全化計画の実現可能性が乏しいものであった」、「新病院の建設を推進した山田市長の政治判断に大きな疑問を呈している」、「市長や市議会の判断の不当性を断罪するとともに、原告の主張の正当性を実質的にほぼ認めた」の3点を挙げた。関連記事
matsuura.jpg 「判決では、明らかに不当といわざるを得ない点があります。しかしながら、判決において、小樽市の新病院建設計画の不当性について真っ向から疑問を呈する指摘を得られたことは、紛れもなく一定の成果であると考えます。たった一人の原告であった私を支えともに闘ってくれる多くの小樽市民の仲間を得ることが出来たことが、最大の成果。平成19年度の支出についての裁判を継続することよりも、今現に行われようとしている実施設計の予算化を差止めることの方が、小樽市の財政・医療行政のためには喫緊の課題である。残念ではありますが、先般の札幌地裁判決については、控訴することを断念いたします。そして新たに、市政を監視するために、小樽市民オンブズマンを結成する」とした。
 10人程度でオンブズマンを早いうちに立ち上げ、現在進められている基本設計や来年度での実施設計予算計上などについての市政監視を強めることにしている。
 「医師会の提案に対し、きちんと話し合って欲しい。早く病院を建てるには、一方的に押し付けるのではなく、丁寧に話し合う必要がある。医療について、どこまでやれば安心安全と言えるのか。病院だけに大金を使って良いのか。子供の教育環境を考えたり、市全体のバランスを考える必要がある。小樽市の心ある市民の方に、一人でも多く、この輪に加わっていただきたい。そして私たちの意見を議会に反映出来るようにしたい」と語った。
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