創業159年の花月堂負債6億円 民事再生手続申立て


kagetudo1.jpg 小樽の老舗和菓子製造販売の株式会社花月堂(桂岡2・古川昭男代表取締役社長)は、店舗の売上げ減少や過大な設備投資の影響で資金繰りが悪化したため、11月24日(水)に札幌地裁に民事再生手続の申立てを行ったと発表した。
 159年の歴史を持ち、北海道最古の企業として知られる同社は、1851(嘉永4)年、越後国新発田藩のご用菓子舗・杉本花月堂として創業。1904(明治34)年に小樽市にて杉本花月堂を開業し、1946(昭和21)年に株式会社杉本花月堂を設立した。
 1950(昭和25)年に札幌に進出したが、1960(昭和35)年に1億円の負債を抱えて倒産。この後、1972(昭和47)年に稲穂大通商店街沿いに本店を移転し、1981(昭和56)年には、社名を現在の花月堂に変更した。1992(平成4)年には桂岡工場を新築移転。2003(平成15)年には、売上増を目指し、多店舗展開を図り、2007(平成19)年前までに、小樽市内をはじめ後志、札幌に計30店舗を構えた。
 しかし、この工場新築(土地代1億5,000万円・建設工事費2.3億円)が重荷となり、さらに約2,000万円を投じた多店舗展開は失敗に終わり、赤字経営に陥った。黒字を装うため、2006(平成18)年から粉飾決算を繰返し、2010(平成22)年6月期(売上7億1,600万円)には粉飾額が約9,600万円に達した。
 北海道中小企業再生支援協議会の支援を受け、事業再生計画を策定したが、客単価の減少とともに今夏の猛暑によってお盆時期の売上げが前年度と比べ1,000万円減った。今月25日(木)の従業員165名の給料1,800万円の資金調達が困難となり、24日(水)に民事再生手続きの申立てを行った。負債総額は6億100万円に上る。
kagetudo2.jpg 古川代表取締役社長は、24日(水)13:00から市政記者クラブで記者会見を開き、「小樽を中心に後志での店舗はなんとか推移していたが、札幌方面のラルズや東光ストア、ポスフールの店舗では、アメリカの不景気などで客数が減り、客単価も減ってきた。2年前から赤字店舗を6店舗撤退し、物産展でカバーしようと力を入れたが、この秋になってから昨年実績の50%しかなく売上げがダウンした。残念で仕方ないが、力及ばず再生手続の申立てを行った。平成18年に経営を受け継いだ時から楽ではなく、売上げ確保に総力を挙げ、一時は上向きにいったが続かなかった」と述べた。
 今後は、スポンサーに名乗り出た札幌の土木工事・設計の北武グループに事業譲渡する方針。まずは、今月25日(木)の給与分の支援を受け、黒字転換の見込みのない店舗を廃止し人員整理して経営改善を行う。「花月堂ののれんと味を残してくれるので、そうするしかない」としている。
 花月堂