小樽市が10月4日(月)に伐採した市立文学館・美術館(色内1)の4本のポプラ並木。市教育委員会は、伐採したポプラの幹を処分場に運搬しやすいように、5日(火)に細かく切断。この際、幹を調査したところ、一部の切断部から腐朽状況が発見されたと写真付きで発表した。
市教委は、「4本のポプラのうち、門側(日銀側)のポプラの切株から約2.6mの切断面(幹直径約90cm)に直径約60cm・長さ約2.6mの空洞がある。腐朽した切断面には白い菌類が発生している。切株側の切断面に腐朽は見られない。残る3本の幹について、中間の2本目、3本目に腐朽はなかったが、余市側の木は、地面から1.4mの部分に直径約25cmの軽微な腐朽部分があった」とした。
これに対し、4本のポプラの樹木診断を行った中村哲世・樹木医は、市教委の発表した写真を見た上で、「土や枝が空洞に入っているというが、これは蘇生しようとしている状況で、新しい根が出ているということだ。植物が、腐ったところに対し、その腐れが進行しないように防御層を作っている。傷んだところに根を出し、そこに新たな細胞が形成されているところだ。人間の浅知恵で植物を伐ってはいけない。今後も生き続ける可能性は十分あった。市教委の発表は、専門的ではなく、非常に勉強をしていない無知そのものだ。だからなぜ専門家を入れないのか。時間があまりにも無さ過ぎる。
切株から2.6mのところに腐朽があったとしているが、高所作業車を使った精密検査をするべきだった。私は根を中心に診て危険か危険ではないかを診断した。とくにきれいな根だったから、伐ったことは間違い。樹木は、全部根から倒れる。幹からぼっきり倒れて、根が残ることはない。この部分の腐朽は、前に剪定した際に雑菌処理しなかったためではないのか。市が剪定して雑菌が入って出来た腐れかもしれないのに、自分たちの犯したミスを、自分たちが指差して笑っているようなもので、滑稽だ。
白い菌類が発生しているというが、これは菌根菌といって、根っこに栄養を与えるもので、養分を新しく出来た根に供給し、生きようとするものだ。腐ってた部分に見切りをつけて防御層をはって、根のところにいかないようにしていたものだ。玄人が見たらすぐに分かること」と指摘した。
渡辺禎子・美術館副館長は、「昨日、作業の昼休みの時に、伐採したポプラの幹を公開していたので、その後の情報も公開することにした。根のところから伐り取ったが、そこには年輪がきっちりなっていたが、空洞のところには細かい土や枝が入り、年輪が重なっていない状態だった。健康な年輪が刻まれていなかった。注目が集まっているポプラなので状況をお知らせして欲しいと言われたので公開した。他意はありません」と話している。
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