山田勝麿・小樽市長は、10月27日(水)11:00から定例記者会見を開き、小樽市医師会(津田哲哉会長)が新病院建設問題で「コ ンパクトで安価な計画に」と提案していることに対し、「コンパクトは、どこまでコンパクトなのか分からない。本心が分からない」と一蹴した。
市の量徳小敷地での新市立病院は、23科・388床で148億7,300万円で、起債(借金)とその利息を合わせた元利償還額は193億6,900万円もの巨額に上る。
市医師会は、8月18日に市病院局(並木昭義局長)と公開討論を行い、「①診療所と病院、各病院間など医療機関間の連携を強化し、北後志も含 めた実効性ある救急医療体制の確立、②内科輪番制への参加、一般内科患者の二次救急受け入れ態勢づくり、③市立病院はコンパクトで安価な計画に練り直し、経営形態について民営化も含む抜本的な経営改革をお願いしたい」と市に提案した。関連記事
これに対し、市長は、「コンパクトは、どこまでコンパクトなのか分からない。何回も話しているのに。医師会の本心が分からない。医師会も面白い 組織で、色々な先生の意見があり、正直なところ、個人の意見が医師会の意見なのか、会としての意見なのか分からない」と述べた。
また、市医師会が、「小樽市には、日本国内での公的な病院の建設方法、運営方法の実例に学び合理的な再建案に練り直して頂きたい」と10月8 日に開催した特別講演会「とことん知りたい樽病新築」に対しては、「良く分かりません。話を全然聞いてませんので。良かったら職員が 行っているので聞いてください」と不快感を表した。関連記事
山田市長が、就任当初から公約に掲げた新病院は、3期12年経っても未だ建設もされず、迷走に次ぐ迷走を続けている。公約違反のまま、来年4月での引退を表明しており、4月以降の新病院建設に携わる権限は全く無くなる。しかし、自らの代で巨額病院建設への道筋をつけるため、「病院問題については市議会全会派一致している。早くするようにとの話ですから。一日も早く建設するためには早くした方が良いですから、私の代で実施設計予算を計上したい」と、引退後の次年度予算での実施設計の計上を強行しようとしている。
さらに、10月22日(金)には、国の医療施設耐震化臨時特例交付金(約12億円)を導入するため、急遽、当初計画のスケジュールを前倒しすることを決め、北海道に必要書類を提出した。この交付金が決まれば、当初予定していた2012(平成24)年度7月の発注・着工を、2011(平成23)年度3月末までに前倒しすることを目論んでいる。
新病院建設は、起債(借金)頼みで、まだ北海道とは何ら具体的な協議には入っていないことが明らかになっている。起債許可には、2009(平成21)年度末の11億6,303万8,000円の不良債務を、2010(平成22)年度で解消し、31億9,044万円の資金不足額を2013(平成25)年度までに解消することが条件となっており、この目標達成も未だ不透明なままで、起債許可の見通しも立っていない。
北海道庁市町村課は、「起債許可については、平成22年度の不良債務解消と平成25年度の資金不足額解消をクリアしなければならず、正式に起債許可申請を受けておらず、総務省に打診もしていない。今年度の医療機器に関しては事務的に進めている。医療機器と建物の起債は、観点が違い、額も理論も違う。全く別の話。病院建設に許可を出すとなると、地域連携も重要なので、今後の収支も見ないといけない。将来的な負担で、建物の償還が30年と長期的な債務となるので、これを背負った時に、小樽市が耐えられるか判断しないといけない」と、二度目の起債申請には、極めて厳しい姿勢を示している。関連記事
にも拘らず、実施設計から起債許可が必要なのに、地元医師会の反対や地域連携にも何らの顧慮もせず、山田市長が、なり振り構わず実施設計を強行する姿勢は、市民には、最早、政権末期の最後のあがきとしか映らない。12年間の市政で、造れなかった新病院を、残り数ヶ月しか任期のない市長のもとで強行し、巨額の借金を市民に背負わせることの是非は、来年4月の市長選で決着をつけるべきであろう。
市立新病院建設問題は、前回市長選挙と同様、来年の市長選挙でも、再び小樽市政の最重要課題となっているのである。山田市長がどうしても豪華新病院の建設を目指すなら、引退表明を撤回し、自ら市長選に挑むべきだろう。遠路はるばるニュージーランド旅行をしても、すこぶる元気な市長には、その資格が十分あると言えよう。ただし、小樽市民が、4回も選んでくれるかは極めて疑問だが。
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