小樽市教育委員会が、10月5日(火)に市政記者クラブに発表した市立小樽文学館・美術館の伐採したポプラの「調査」は、市教委と美術館の職員による単なる目視と計測だけの確認であったことが分かった。
市教委は、5日(火)15:45頃、「10月4日に伐採したポプラの木ですが、幹を調査したところ添付写真のように腐朽状況が発見されましたので、お知らせいたします」と、4枚の写真を添付して、市政記者クラブに発表した。
この幹の「調査」は、市教委の大野博幸教育部長、青木良英次長、渡辺禎子・美術館副館長など市職員が、目視と計測しただけの確認で、とても「調査」などと言える代物ではなかった。それを「調査」だとして、あえて記者発表を行っていた。
「我々職員が専門的な知識のないまま見せてもらった。幹を目視して巻尺で計ったり、空洞の中身を見て触ってボロボロするねと言って、調査というか確認をした」(渡辺副館長)と認めた。
青木次長は、「調査というのは調査報告書をつくるものではなく、切って写真で記録するもの。私たちは素人であるが、過去の被害報告書などで勉強し、腐朽の多い樹種とも聞いている。樹木医さんの調査報告書はそうだろうと思って議会でも話した。一番健康だと言っていた樹木の中を開けてみたら、写真のような状態だったので、皆さんにお知らせした。それについて樹木医さんのコメントも見たが、それについて何かを言える立場ではない。腐朽の原因を調べて究明する気はなく、現状を説明している」と述べた。
この市教委の「調査」について、ポプラ並木を守る会の女性メンバーは、「5日に現場に入らせてもらって、幹の状況を写真に撮っていたら、白い髭で白髪のおじさんが、触ってごらんブヨブヨしているよと言って、幹を触らせてくれた。その後、空洞の木を示しながら、木を伐ってみて分かったが倒れる前に伐って良かったと言っていた。あとで分かったのは、このおじさんが美術館の館長だった。市教委の調査の発表が、新聞で掲載されたが、その発表のまま掲載されており、読んだ人は、市の伐って良かった間違ってなかったとのメッセージだと思ってしまう。市は、専門医を入れて調査をすべきであった。素人の役人の目測の確認を調査したと発表すべきではなかった」としている。
ポプラ並木伐採での市教委の「調査」は、単なる目視と計測だけの単純な確認作業であったことが分かった。これを「調査」と称して記者発表し、報道機関に取り上げさせた手法は、まさに戦時中の大本営発表と変わらず、改めて市教委の責任が問われることになろう。
※だいほんえい‐はっぴょう〔‐ハツペウ〕【大本営発表】 (大辞泉)
1 太平洋戦争中、大本営が国民に向けて発表した、戦況に関する情報。末期には、戦況が悪化しているのにもかかわらず、優勢であるかのような虚偽の発表をくり返した。
2 転じて、政府や有力者などが発表する、自分に都合がよいばかりで信用できない情報。
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