開会中の小樽市議会第3回定例会で、9月13日(月)、自民党と共産党の会派代表質問が行われ、2会派とも市長の引退表明、財政、病院問題について質問した。
自民党の濱本進議員は、市長の引退について、「市長就任以来の11年半について、感想程度で構いませんのでお聞かせを」と質問。
山田勝麿市長は、「これまで一貫して、市民の皆さんとの良好なパートナーシップの下で知恵を出し合いこの街に住んで良かったと誇れる街づくりを目指してきました。少子高齢化、景気低迷による市税収入の減少や、三位一体改革による地方交付税の削減など、総じて厳しい環境でしたが、最重要課題と位置づけた財政再建について、多くの皆様の理解の下、一定の成果を上げることが出来た」と答弁した。
市立病院問題では、「自己資金が無い小樽市にとって起債が認められなければ建設は不可能です。起債の可能性について北海道や総務省と接触を重ねていると思いますが、感触は」と質した。
並木昭義病院局長は、「起債許可については、平成22年度の不良債務解消と、平成25年度に地方財政法上の資金不足額解消を達成することが条件で、このため、経営健全化計画を策定して、北海道や総務省と協議しており、概ね妥当だとの感触を得ており、第2回定例会で基本設計の予算を計上した」と答えた。
「建設単価30万円以上は交付税措置がされないことも聞きますが、交付税措置のある起債が全額借入れできると、見込んでいるのか」と質問。
「平成21年度以降に基本設計に着手する病院の整備費について、建設単価が、1平米30万円を上回ることについては、交付税措置の対象外とされる。ただし、災害拠点病院の設置設備費については、この建設単価でも措置され、新市立病院でも全額交付税措置の対象となると考えている」と答弁。
「新済生会小樽病院の病床数を含む基本計画、及び建設費についての報道がありましたが、計画内容や仕様などの詳細が不明確で両者の建設費や建設単 価を比較するにはあまりにも情報量が不足している。耐用年数なども考慮したトータルコストで判断すべき」と質問。
「公立病院は、原則として『公共建築工事標準仕様等』をもとに建設されることになっている。病院は24時間365日稼動しますので、建物の質を出来るだけ落とさずに建設費を圧縮する設計プランが必要であると考えている。このため、建物の形状や構造を出来るだけシンプルなものにするなど、経済性を考慮して平面計画に努めている。またランニングコストなどにも十分考慮した建物にすることを考慮している。工事施工金額の算定において、使用する資材等の単価を決定する資料を変更することも検討している」と答弁。
「第4回目の議会報告会では、建設費などの制約は十分理解しているが、市内経済に最大限配慮して欲しいとの要望がありました。市長はこの最大限の配慮についてどのように受け止めているか。基本設計が完了した後は、実施設計業務が始まるが、一日も早い開院を目指すためには実施設計の予算計上の時期は平成23年第1回定例会に提案すべきと考えるが、市長の決意を」と質問。
市長は、「具体的な建設工事の発注方式は、現在、基本設計では平面プランのまとめの作業で、ゾーニング分けを行っており、この作業のあと、設計者から、工事発注方式ごとに利点や課題が提案されることになっている。発注方式は年内に議会に報告し、十分審議した上で決めたい。実施設計については、基本設計業務完了後の平成23年の第1回定例会に提出したい」と答弁。
共産党の中島麗子議員は、財政再建について、「前市政時代のマイカル誘致と開業わずか2年半後の破綻に伴う財政負担と、平成15年度から3年間の三位一体改革に伴う地方交付税の大幅削減累計54億円、長引く不況による市税の落ち込みによるかつてない財政危機のもとでの市政運営でした。自らの給与もカットに次ぐカットで大変なご苦労であったと思いますが、財政再建に関する市長の感想を」と質した。
市長は、「私が就任した平成11年当時は、税収の低迷や公債費の増加など厳しい財政状況にあり、財政健全化を最重要課題と位置づけた。任期中のほぼすべてをかけて財政健全化に向き合ってきたが、市民の皆様や職員の皆様の協力が無ければ成し得なかった。一般会計累積赤字の解消を目前として、財政再建は途上であり、今後も着実に財政再建に向けて努力していく」と答えた。
新病院問題では、「建設地について一度は築港地区と決めたにもかかわらず、並木病院管理者の提言に応える形で、築港で決まった後も現在地周辺での建設を求める意見が寄せられているとして、新病院建設地を変更すると伝えました。前市長時代にそれまでの市長が病院会計に毎年度一般会計から数億円の繰出しをしていたのを止めてしまい、7ヵ年で44億円の不良債務が生じたことが大きな障害となりました。新病院建設にかかわるこれらの経過についての感想を」と質問した。
「建設地の問題は、学校の適正配置問題もあり、大変苦慮した。市民の健康を守るため、また、病院経営の健全化を図るため、老朽化した2つの病院建設は不可欠と思い、残された任期で26年度の開院の方向性を確かなものにしたい」と答弁した。
14日(火)も代表質問が行われ、公明党の秋元智憲議員と民主市民連合の斎藤博行議員が質問に立つ。