北海道済生会小樽病院(梅ヶ枝町8・近藤真章病院長・287床)の新築移転計画が、9月1日(水)に明らかになった。
同院を運営する北海道済生会(新谷昌明会長代行)は、今年3月、市内の2病院と福祉・介護施設などの体制整備を図ることを目的に「北海道済生会基本構想」をまとめていた。
これに基づき、新病院計画を作り、9月1日(水)に開催された北海道済生会評議員会の同意を得た。今後、9月中に開催する予定の済生会本部(東京)の委員会・理事会の承認を経て、正式決定される。
今回明らかになった「北海道済生会基本構想における新済生会小樽病院基本計画(案)」は、開院57年目で、①建物が老朽化・狭隘化していること、②医療技術の高度化に対応した医療提供に限界があること、③快適な環境確保に限界があることなどを理由に、新病院を建築するとしている。西小樽病院との統合は今後の検討課題となっている。
計画地は、小樽市築港114番1のJR用地19,000平米で、これまで小樽市が新病院を建築しようとしていた敷地と重なる。同院では、「築港駅周辺地区の新たなるまちづくり」と、築港地区の平坦な土地を利用した”エコメディカル機能ゾーン”を創出する方針。土地は借地契約をする予定で、これにより、当初の建設事業費の縮減が見込まれるとしている。
築港地区の各施設や企業と連携し、市内で唯一高齢者や障害者に優しいユニバーサルデザインのまちづくりに取り組み、北ガス(株式会社エナジーソリューション)によるコジェネレーションシステムを活用し環境に配慮した病院作りを行うという。また、「小樽病院は、北小樽地域住民に育てられた病院」と、移転の際に、診療所の開設か、送迎バスによる通院アクセスの利便性を確保する。
診療科は、現在ある内科、消化器科、循環器内科、神経内科、外科、整形外科、泌尿器科、耳鼻咽喉科、麻酔科、リハビリテーション科、放射線科、健診センター、透析センターの13科に、新たに呼吸器内科と病理科の2科を新設し、計15科とする。
病床数は、患者数見込みや病棟運営などを考慮して250床程度にするとしているが、「地域医療再編化にあたり、病床規模拡大の必要性が生じた場合」には、現病床数の287床を上限に対応する。1看護単位あたり50床から52床程度の病床で、看護師の業務負担を軽減する。駐車場は250台。
総事業費は、55億円。建築費は、建設工事費・外構工事費・設計管理費を含めて40億円程度を想定している。
基本設計・実施設計を2010(平成22)年度11月以降に行い、2012(平成24)年度から建築工事に入り、2013(平成25)年度中の開院を予定している。「小樽病院は施設の老朽化や狭隘化による医療機能上の問題を抱えている状況から、出来る限り早く開院すべく努力したい」としている。
現在、小樽市では、量徳小敷地での新病院建設計画を進めている。これを新済生会小樽病院と比較すると、総事業費では、新市立病院(388床)は148億7,300万円で一床当たり3,833万円、新済生会小樽病院(250床)は55億円で一床当たり2,200万円。建設費では、新市立病院は96億300万円で一床当たり2,475万円、新済生会小樽病院は40億円で一床当たり1,600万円となり、市の計画がいかに巨額なものか一目瞭然となっている。
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