市立小樽病院(若松1)の内科医師1人が、8月末で退職することが分かった。同院正面ロビーと内科受付の掲示板に、「木曽田医師の診察は8月末で終了します」と書かれた”内科からのお知らせ”が張り出されている。
退職する内科医師は、北海道大学出身の木曽田理絵医療部長。日本消化器内視鏡学会・日本外科学会・日本東洋医学会に所属する。大学人事ではなく、院内の医師からの紹介で赴任し、今年3年目を迎えていた。家庭の事情により、地元の千葉に戻ることになり、7月末に退職届けを提出。これが受理され、8月末で退職することが決まった。
同院では、2007(平成19)年度から2008(平成20)年度にかけて、医師や看護師の退職が相次いでいた。しかし、2009(平成21)年度から地方公営企業法の全部適用によって病院局がスタートし、札幌医科大学医学部麻酔学講座教授の並木昭義氏を病院局長に迎えてからは、医師や看護師の退職は止まっていた。
2010(平成22)年度の第1・四半期の入院外来収益は、入院の診療報酬の増額や患者数の増加(前年比10%増)により、昨年と比べて7~8%増加しており、これまで右肩下がりの経営だった市立病院が上向きになってきていた。
しかし、木曽田医師の8月末退職後は、新たな医師の補充の見込みが立たず、今後の収益に影響を及ぼす可能性がある。鈴木隆院長は、「代わりの先生は鋭意探しているが、すぐに補充は出来ない。収益が上がっているとはいえ、乾いた雑巾をしぼるように経営しているので、辞めたらその分を確保しないといけない」と肩を落とす。
病院局経営管理部は、「他の内科の先生や院長に、木曽田先生が診ていた患者さんのカバーをしてもらわなければいけない。今年に入って、家庭の事情で沢山の患者さんを診ることが出来なかったが、どのようにカバーするかが課題」としている。
小樽市では、小樽病院と第二病院の統合新築で、病院事業債と過疎債を50%ずつ充当する計画だが、この起債(借金)には、現在進めている「小樽市立病院改革プラン」を是が非でも達成しなければならない。補充出来ない医師1人分の仕事量を、残っている医師だけでどの程度補えるか、今後の課題を残している。
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