今年度から「過疎地域」に指定された小樽市は、「過疎地域自立促進特別措置法」に基づいて、7月20日(火)、過疎計画「小樽市過疎地域自立促進市町村計画」(素案)をまとめた。
「過疎地域」は、人口が著しく減少したことで、地域社会の機能が低下し、生活水準及び生産機能が他の地域に比較して低位にある地域が指定される。
2009(平成21)年度末(今年3月)には失効する予定だったが、新たに2010(平成22)年度から2015(平成27)年度まで6年間の延長が決まった。一部法改正で、過疎地域の指定要件が緩和された。
このため、小樽市は、人口減少率が指定要件を超え、財政力指数が指定要件以下となったことから、4月1日から「過疎地域」となった。関連記事
この指定で、公共事業の補助率がかさ上げ、借金の7割を交付税で手当てする過疎債の発行が認められることになる。2010(平成22)年度の法改正によって、ハード事業対象だった過疎債に、新たにソフト事業も追加された。市の場合は、1億4,300万円。
「過疎地域」として公示された市町村は、地域の自立促進を図るため過疎計画を策定する必要があり、市は、同法に基づき、「小樽市過疎地域自立促進市町村計画」(素案)をまとめた。
市の過疎計画(素案)は、第6次小樽市総合計画(平成21年度から30年度)に載せた事業を前提に盛り込み、「財政支援など特例措置を最大限に活用する観点から策定を進める」としている。第6次小樽市総合計画(平成21年度から30年度)
A4・63ページで、小樽市の概況・人口産業の推移と動向、行財政の状況、基本方針、自立促進計画の推進などを掲載。
基本方針には、産業振興・生活基盤・環境保全・市民福祉・生涯学習の5項目のテーマを定めた。各分野の施策を総合的に展開することで、過疎化を食い止め、地域の自立を促進すると述べている。
産業振興では、森林の保全・整備。漁場の造成や漁場環境の保全、栽培漁業の技術開発、漁港の整備を推進。観光資源の発掘や観光拠点の整備。国内貨物の誘致、対岸諸国との貿易拡大、クルーズ客船の寄港促進。
生活基盤では、行政の情報化や情報セキュリティ対策の推進、地域のデジタル化対応に向けたテレビ中継局の整備。市内に暮らす外国人への支援や市民との交流機会の拡大。情報公開や市民参加の機会を拡大し、透明性の高い市政運営。今後活用予定の北海道新幹線を活用した新たな魅力あるまちづくりの検討を進める。
環境保全では、今ある豊かな自然環境を守るとともに、魅力ある公園・緑地の整備を進め、緑をはぐくみ、緑とふれあう機会の充実を図る。
市民福祉では、医療機関相互や福祉施設などとの連携等を進め、医療資源の効率的な活用に努める。市立病院については、担うべき役割を明確にし、両病院を統合・新築する。
生涯学習では、小中学校の規模・配置の適正化と施設整備の充実。スポーツ・レクリエーション施設の整備と有効活用に努めるとしている。
新たに追加されたソフト事業の展開では、住民福祉の向上と雇用の増大をキーワードに、安心して子供を産み育てることのできる環境づくりを進め、高齢化社会をまち全体で支える対しえの整備・充実を図る。ボランティア団体やNPOなどの支援に努める。
市では、7月22日(木)からホームページに過疎計画(素案)を掲載し、8月20日(金)までパブリックコメントを行い、市民からの意見を募る。8月3日 (火)に小樽市議会総務常任委員会で素案を報告。9月の市議会第3回定例会で議決を得た後、計画を決定。10月には、過疎債の申請を行うことにしている。
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