介護保険交付金申請ミス 小樽市が陳謝


kaigohoken.jpg 小樽市職員の作業ミスで介護保険交付額が本来より7,200万円減額された問題で、市医療保険部(志久旭部長)は、6月18日(金)16:00から記者会見を開き、「大変申し訳ございませんでした」と陳謝した。
 誤って申請したのは、65歳以上の被保険者の所得割合を基にする国の「介護給付費財政調整交付金」。75歳以上の高齢者や低所得者が多い自治体ほど、交付金が多く交付される仕組み。
 市は、低所得者に配慮するため、介護保険料の段階区分を国が定めている6段階から、2006(平成18)年度に7段階、2009(平成21)年度に8段階に変更した。国に報告する際には、市独自の7・8段階を6段階に、6段階を5段階に含めるべきだった。しかし、6段階を誤ってそのまま6段階に含めたため、7,190万円の不足額が生じることとなった。
 担当の医療保険部では、1月14日に「諸係数調べ」を後志支庁に報告。同支庁が同月27日に例年同様の再確認の通知を行ったが 市は、点検したのち「訂正なし」と回答。
 他市で所得段階別人数の誤りが判明したことから、同支庁は、異例の再々確認の通知を行った。しかし、市は、「21年度で変更したが、前年は市の6段階を国の6段階に含んでいたので、そのまま入れてしまっていた。間違っているという認識がなかった」と、再び「訂正なし」と回答した。
 2月24日に国の内示を受けたところ、担当者が、決定額が見込みより少なかったことで、申請ミスに気づいた。後志支庁や北海道に訂正出来ないか問い合わせたが、変更が出来ないとの回答だったため、直接、厚生労働省と折衝を行う羽目になった。
 同省では、他の自治体でも同様のミスがあったことから、2010(平成22)年度でその7割を上限に補填する制度を設けた。市では、6月末までに国に申請を行い、全額の救済を求めることを決めた。
 ミス判明後も報告は課長までしかなされず、担当レベルで解決を行おうとしていた。国の救済措置には、市民やマスコミに公表することが条件として盛り込まれている。結局、約4ヶ月経過した6月11日(金)に志久部長に報告し、今回の記者会見となった。
 市役所では、今年2月、職員の懈怠によって高額療養費の6,300万円の未請求が発覚し、その返済や再発防止の対応を行っていた。交付額不足も同時期に判明していることから、いくらでも報告するチャンスはあったが、「当時の担当部長が高額療養費問題の対応を行っていたので、担当者は出来る範囲で是正出来ないか動いており、タイミングを逃した」(森貴仁・介護保険課長)という。
 志久部長は、「議会で高額療養費問題を議論している中、担当者は、なんとか数字を回復出来ないかというのが先に頭に行き、報告が遅れた。20年度と21 年度で変更したところをチェックするべきだった。加入者には迷惑は掛けられない。引き続き手立てをしたい。制度が変わった時に簡単に分かるような図をつくり、きめ細かな対応を考えないとミスを防ぐことは難しい」と述べた。
 今回のこの報告遅れについて、市議会からは、「危機管理が足りない」、「市民に言い訳出来ない」、「2回もチェックされているのに」など呆れる声が上がっている。
 山田勝麿市長は、6月21日(月)の市議会第2回定例会の本会議終了後に、急遽、上京し、厚生労働省と掛け合う羽目に陥った。この後、市議会では、臨時の厚生常任委員会を開くことにしている。
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