小樽市総合博物館運河館(色内2)は、6月12日(土)13:30~14:30、ギャラリートーク「高島おばけ―松浦武四郎が現代につないだ小樽の蜃気楼」を開催。小樽沖で見られる蜃気楼「高島おばけ」の魅力をアピールした。
蜃気楼には、上位蜃気楼と下位蜃気楼の2種類があり、小樽沖では上位蜃気楼が発生する。国内で観測出来るのは、富山湾やオホーツク海、苫小牧など、わずか6ヶ所で、全国的にも珍しい自然現象。
同館では、6月5日(土)から、2008(平成20)年6月23日に発生した特大規模の蜃気楼の写真を展示する企画展を開いている。ギャラリートークは、この企画展の関連行事。講師の大鐘卓哉学芸員は、十数年前から蜃気楼の研究を続けている。
「北方探検家の松浦武四郎が、1846(弘化3)年に西蝦夷日誌に記しており、それが私の研究の始まりとなった」と大鐘学芸員は、自らの研究のルーツを語り始めた。
「高島で見られるから『高島おばけ』と言うのか、高島岬やトド岩が変化するから『高島おばけ』と言うかは分からないが、松浦武四郎が、『水主が今日は高島のオバケが出る。あれを見なさいと言い、彼方の岬を指して教えてくれた。間もなく小さな点のような島と思えた岩磯が大きくなると・・・。これこそ私の故郷である伊勢桑名で言われる蜃気楼であろう』と日誌に記している。ちゃんと蜃気楼と理解して記述していたことが、今に伝わっている。松浦武四郎は、伊勢の出身で、江戸時代は伊勢湾は蜃気楼で有名だった。
石狩湾は面白い対象物がなくワンパターンになっているが、2008年6月には、十数年間の研究の中でもすごい特大規模の蜃気楼が発生した。幅広く対象物が様々な形に変わる様子が分かった。海岸林は反転し、空中都市を創り出した。小樽は、日本全国でも有数な蜃気楼の名所で、もっともっとPRして、小樽の観光のひとつとして広まって欲しい」と述べ、蜃気楼を描いた浮世絵などの江戸時代の美術品や、蜃気楼の発生メカニズム、6月9日に発生した大規模の蜃気楼も紹介した。
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