5月10日(月)に解禁することになっていたウニ漁が10日間延期となった。
これは、今冬の海水温が高かったことから、エサとなる海藻の着生が少なくなり、ウニの身入りが悪くなったため。小樽市漁業協同組合によると、ウニ漁の解禁が延期になることは極めて異例としている。
市内のウニ漁は、毎年、5月10日から8月31日まで、小樽前浜で行われる。銭函・張碓から、朝里・船浜、手宮・高島、祝津、塩谷、忍路までの前浜で、約100人のウニ漁業者たちが新鮮なウニを水揚げする。
ウニ漁は小樽が発祥の地。昭和40年後半からは、全国で初めてウニの折り詰めが始まった。小樽の漁師が、漁や折り詰めの技術やテクニックを全国に広め、ウニの小樽ブランドが確立した。現在、全国的各地で高値で取引されている。近年は、カップウニの需要が増加している。
市内前浜で漁獲される「夏の味覚王」のウニは、”繊細なコク”のエゾバフンウニ(赤ウニ。ガンゼ)、”濃厚なコク”のキタムラサキウニ(白ウニ・ノナ) の2種類。こちら
北海道後志総合振興局によると、2009(平成21)年の小樽市内の漁獲量・漁獲額は、エゾバフンウニが7トン・1億2,320万2,000円、キタムラサキウニが13トン・1億 3,466万2,000円。2008(平成20)年は、エゾバフンウニが7トン・1億3,891万9,000円、キタムラサキウニが18トン1億 8,720万9,000円となっている。
ウニ漁解禁の延期は、漁業者に大きな影響を及ぼす。同局の統計では、昨年の5月10日から31日までの漁獲量・漁獲高は、エゾバフンウニが1トン・ 1,917万3,000円、キタムラサキウニが2トン・2,123万5,000円。この10日間の延期分で、今年は2,000万円の減少が見込まれる。
市漁協では、「昨年は身入りが悪かったが、10日から漁を解禁した。今年も身入りが少ないことから、各漁場の漁師さんたちと話し合いを持ち、漁協の磯漁業部会で協議した結果、10日遅く解禁することにした。10日間も漁が出来なくなるのは非常に痛手」としている。
余市水産試験場によると、「ウニの身は、生殖巣と栄養を蓄積する部分。今冬の海水温が高かったことから、日本海全体で海藻の着生が芳しくなく、エサが少なくなり、ウニの生殖巣の発達が悪くなった。これが、身入りが悪い原因と考えられる」としている。
「夏の味覚王」の水揚げは、10日後の5月20日(木)。21日(金)には市内各市場に出回り、夏の海の味覚を楽しめる。