6年連続の繰上充用 与党はダンマリ可決


rinjkai-honkaigi.jpg 小樽市が計上した6年連続の繰上充用を審議する一日だけの小樽市議会第1回臨時会が、5月24日(月)13:00から、市議会本会議場で開かれた。与党会派からは一 切の発言・質疑はなく、全5議案・報告1件がすんなりと可決された。
 臨時会に計上された議案は、2009(平成21)年度の歳入歳出の辻褄を合わせるため、2010(平成22)年度予算から雑入として”繰上充用”する一般会計と国民健康保険事業特別会計の補正予算2件と、条例改正案3件、専決処分報告1件。
 山田勝麿市長は、「平成22年度一般会計補正予算につきましては、平成21年度一般会計の決算見込額を試算した結果、歳入総額約569億2,100万円に対し、歳出総額約570億7,300万円となり、この差引額から更に繰越明許費に係る繰越財源約400万円を差し引くと、約1億5,600万円の収支不足を生じる見込みでありますので、平成22年度の諸収入を財源として、繰上充用による措置を行うため、所要の予算を計上いたしました。これにより、一般会計の財政規模は553億4,260万9,000円となりました。
 平成21年度の財政運営についてでありますが、一般会計においては、当初予算では職員手当等の削減のほか、他会計からの借入れなどによる財源対策を講じて収支均衡予算を編成したところでありますが、平成20年度決算の確定に伴い、約6億5,900万円の累積赤字を引き継ぐ中での厳しい予算執行でありました。
 加えて、市税収入の落ち込みなどもありましたが、歳出において、職員給与費や生活保護費などに不用額が生じたこと、また、燃料・光熱水費などの管理的経費等の削減に最大限努めたほか、他会計への繰出金の減少などにより、単年度収支では約5億300万円の黒字となる見込みであります。
 本市の財政状況は全体的には改善がみられますが、依然として一般会計の累積赤字は残っておりますし、この累積赤字の減少が、他会計及び基金からの借入れ、職員給与等の削減などの財源対策の上に成り立っている状況に変わりありません。従いまして、今後、平成22年度におきましても、まずは、この累積赤字の解消に全力を挙げるとともに、真の財政構造の健全化に向けて、歩みを緩めることなく、全力を挙げて取り組んで参りたい」と説明。
 これに対し、北野義紀議員は、「第1回定例会開会から1ヶ月後に、平成21年度の単年度収支が1億6,700万円から5億300万円に大幅に黒字が増えた。不用額は、累積赤字解消の財源で大きな役割になっている。無駄を省くのは当たり前だが、不用額を出すように指示しているのではないか」。「市長の言う真の財政再建とは何か」と指摘した。
 山田市長は、「これまでは、入札して、差金が出て余ったら違う事業に使っていたが、今は差金が出たら戻せと言っているので、不用額が出ている。それと累積赤字を減らせと指示してきたことが浸透してきた。真の財政再建は、基本は歳入にあった歳出を作っていくこと。突発的なものに用意出来る財政調整基金がないことには厳しい状況」とした。
 臨時会での質疑は、共産党ただ一会派のみで、他の自民党、公明党、民主市民連合、平成会の与党は一切質問をしなかった。
 また、共産党は、「繰上充用が計上され、臨時会召集が6年連続となりました。議案運営委員会の審議で、1日だけの審議で十分と判断した会派は質疑もしなかった」と予算特別委員会の設置を求める動議を行ったが、与党からの賛成は得られず否決となった。
 繰上充用は、年度末の赤字を、次年度の歳入歳出予算から穴埋めする非常手段。この制度を濫用すべきではないことは、地方自治入門のイロハである。「【地方自治入門】 地方政治用語集」
 しかし、市は、この繰上充用を6年も連続して濫用しており、与党会派の議員たちは、これを常套手段と勘違いしているのか、な んらの質疑もなく市長の言うままに可決した。市政のチェック機関である市議会で、なんらの発言も質疑もせず、すんなり議案を通すだけならば、議員 の存在理由は無いに等しい。
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