量徳小での新病院建設 23科・388床で148億7,300万円


 2007(平成19)年11月の基本設計中断から2年半。5月25日(火)、小樽市が、建設地を量徳小学校と現在地に変更してから初めて、新病院の規模・機能を明らかにした。
 市立小樽病院と小樽市立脳・循環器・こころの医療センター(第二病院)を統合新築する新市立病院建設は、山田勝麿市長の3期12年にわたる最重要公約。
 2003(平成15)年6月に基本構想を策定し、3度の見直しを行い、当初263億円だったものが、2004(平成16)年10月に194億円、2006(平成18)年12月には156億円と当初より100億円もの大幅圧縮。
 建設用地は、当初、量徳小学校跡地を予定していたが、「PTA、保護者などの理解が得られない」と、あっさり第2候補地の築港地区のJR用地に変更。市長は、2期目の任期切れ前の2007(平成19)年4月、株式会社久米設計札幌支社に、あわてて基本設計を発注した。
 しかし、発注から8ヶ月後の11月、「病院事業を取り巻く状況が大きく変化した」との理由で、この基本設計を一時中断。途中までの業務委託料として2,581万円を同社に支払った。この問題で、現在、市民からは違法・不当な公金支出として住民訴訟を起こされている。
 この後、新設の病院局に2009(平成21)年4月に就任した並木昭義局長の提言を受けた市長は、2010(平成22)年1月、築港地区で進めてきた新病院の建設地を、量徳小学校と現小樽病院敷地を合わせた土地にすると方針転換を行った。
 今回、明らかになった「新市立病院計画概要(案)」は、並木局長率いる病院局が中心となって規模・機能の変更を行いまとめたもの。市側は、25日(火)に市議会各会派に説明を行った。
 この計画概要(案)では、小樽市立脳・循環器・こころの医療センター(222床)と市立小樽病院(223床)を合わせた病床数は、一般302床・精神80 床・結核4床・感染症2床の計388床。診療科目は、現在の診療機能をベースに23科とした。これまでの計画では、病床数は468床としていたが、60床減らし、診療科は17科から23科に増やした。
 診療科は、内科・消化器内科・呼吸器内科・循環器内科・神経内科、外科・整形外科・心臓血管外科・脳神経外科・形成外科、婦人科、泌尿器科、耳鼻咽喉科、小児科、皮膚科、眼科、放射線科、麻酔科、精神科、リハビリテーション科、総合診療科、腎・透析科、健康管理科。呼吸器内科・神経内科・リハビリテーション科・総合診療科の4科は、医師充足の状況から開院時までに変更となる場合もあるとしている。
 施設規模は、1病床あたり75平米程度で、総床面積29,100平米。量徳小学校と市立小樽病院の敷地(約22,462平米)に、それぞれ病院棟と駐車場を配置。地下1階地上7階建で、外来診療部門、中央診療部門、管理部門、サービス部門、病棟部門(精神科病棟含む)で構成する。駐車場は、来院者用250台程度。災害対策として、ヘリポートの設置も検討するという。
 事業費は、建設地の量徳小学校敷地が、建物の支持地盤が深いことによる杭基礎工事費の増加や日影規制に対応するために一部地下階を設ける必要があるとして、建物本体工事費1平米あたり33万円と算定。内訳は、建設工事96億300万円、付帯工事2億5,000万円、基本設計・実施設計・監理・事務4億 500万円、医療機器・備品・システム35億円、移転雑費1億7,700万円、解体工事(造成工事含む)9億3,800万円の計148億7,300万円と巨費に上る。
 この新病院建設工事費は、「同規模の類似病院の実績に基づき試算した」と、1床(75平米)当たり2,475万円となっている。山田市長は、「1平米33万円だ」と市議会で豪語しているが、国立病院機構の1床1,800万円、民間病院平均の1,500万円と比べると、まだまだ高い状況に変わりはなく、市議会でも追求されることは必至の状況だ。
 市では、5月28日(金)13:00から開かれる市議会病院調査特別委員会で、この「新市立病院計画概要(案)」を正式に報告する。
 建設費の高安の論議の前に、市が計画する豪華総合病院が、果たして本当に必要なのかの議論もせずに、市主導のまま突っ走る病院計画は、市民にとって幸不幸の境目となりそうだ。市長公約が12年経っても建設出来なかった市立病院。市長の言う「高い給料」の公立病院が、この街に本当に必要なのか、改めて徹底論議する必要がある。
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