明治期の姿に甦った国指定重要文化財「旧手宮鉄道施設」の機関車庫3号の一般公開が、4月29日(木)から、4年ぶりに始まった。
機関車庫3号(建築面積263.6平米)は、1885(明治18)年竣工。北海道庁赤レンガ庁舎を手がけた平井晴二郎が設計し、フランス積みのレンガ造りで、扇形が特徴的。現存する機関車庫の中で国内最古のもの。小樽市総合博物館(手宮1)の敷地内で保存されている。2006(平成18)年6月から、国1億6,050万円、道8,010万円、市8,040万円の総額3億2,100万円の工事費で、保存修復工事が行われた。関連記事
約3年の月日が経ち、建設当初の姿を残しつつ、機関車庫として最も設備が整った明治30年代末の姿に甦り、4月29日(木)から、一般公開が再び始まった。
市総合博物館は、10:00から、保存修理工事完成記念式典を開いた。低気圧の影響で強風が吹きつける荒れた天候となったことから、式典会場を、急遽、機関車庫3号前から同館エントランスホールに移動。
山田勝麿市長が、「竣工以来120年が経過し、平成18年から丸3年の歳月と、3億2,100万円の費用をかけて、保存修理工事が行われた。明治期の姿に甦った施設を多くの方々に見て頂けることを大変喜ばしいことと思っている。この近代化遺産が、小樽の新しい観光資源として有効に活用されることを願っている」と、集まった関係者 120人に挨拶。
蒸気機関車「しづか号」を背景に、松前神楽小樽保存会が、北海道指定無形民俗文化財の松前神楽「獅子舞」と「注連縄祓舞」を披露し、保存修理工事完成を祝った。
この後、機関車庫3号前に移り、アイアンホース号による出発式を披露。アイアンホース号の蒸気が、新たに設置した煙突から吹き上がる中、職員がアーチ型の扉を開けると、機関車庫を囲んだ関係者たちから、大きな拍手が起こった。
機関士の衣装に着替えた山田市長が、出発の合図の鐘を鳴らし、アイアンホース号がゆっくりと前へ進んだ。明治期の姿に甦った機関車庫を背景に、蒸気機関車を転写台でぐるりと一周させ、記念式典を終えた。