小樽市総合博物館・運河館(色内2)の小さな企画展「電化以前ー昭和30年代以前の生活用具」のギャラリートークが、4月25日(日)13:30から開かれた。
同企画展では、家庭の電化が急速に進み始める直前の昭和30年代に使われていた懐かしい生活用具6点、その生活風景を収めた写真3点を展示している。
ギャラリートークでは、石川直章学芸員が、展示中の「かもめホーム洗濯機」で洗濯を行い、「携行式蓄音機」の音を披露した。
1954(昭和28)年当時、テレビは今の286万円、冷蔵庫118万円、洗濯機50万円と、三種の神器は高額で、現代でいう車を購入するほどの高価なものだった。「高嶺の花だった。家にあることがステータスだった」。
今回展示している生活用具は、この電化製品が普及し、多くの家庭に入ってくる少し前に存在したもの。1957(昭和32)年製の「かもめホーム洗濯機」は、球形の容器にお湯と洗剤と衣類を入れ、現在のドラム式洗濯機と同じように回して洗濯する。
石川学芸員が、実際にお湯と洗剤を入れて、汚れた服と靴下の洗濯に挑戦。蓋がゆるんでいたのか、容器を回すと、お湯がジャブジャブと流れ出た。ようやく容器に書かれた説明通り、10から20秒程度回して、中の洗濯物を出してみると、多少の汚れが落ちているのを確認した。
また、「携行式蓄音機」では、昭和の歌姫・美空ひばりの音楽を披露。レコードの保管状況によって、せっかくの美声も歪んでしまっていたが、昭和の懐かしい音が同館に広がった。
花園の沼端泰子さん(79)は、「あんな形の洗濯機は初めて見た。実用性はあまりないかなと思った。懐かしいのと、自分が年をとったなと感じ、面白かった」と話していた。
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