小樽市病院局は、3月27日(水)13:00から市役所別館第2委員会室で開かれた市議会第1回定例会・病院調査特別委員会(成田晃司委員長)で、「小樽市立病院改革プラン」を、2010(平成22)年度中に下方修正することを明らかにした。同時に、市財政部は、不良債務を含む資金不足解消のため、「一般会計からの繰出も想定される」と、追加の税金負担の可能性を示唆した。
市は、2009(平成21)年1月、総務省の公立病院改革ガイドラインに基づき、「市立病院の経営改革を実現するために必要な基本的事項について定める」として、同改革プランを作成した。小樽市立病院改革プラン
「一般会計からの繰入れも合わせ、早期に不良債務を解消して、病院経営の健全性と継続性の確保を図っていく」として、2009(平成21)年度から 2013(平成25)年度までの5年間で、新谷市政から引き継いだ不良債務(18年度・44億円)や特例債(21年度・18.8億円)、退職手当債などを含む地方財政法上の資金不足額を解消することにしていた。
しかし、計画初年度から医業収益は落ち込み、2009(平成21)年度の最終予算で、医業収益を改革プランの85億円から77億円へ、さらに2010(平成22)年度予算で、85億円から79億円へと見直す破目になった。関連記事
このため、2009(平成21)年度で、資金不足額を26億4,600万円に減らす予定だったが、6億円悪化し、結局、32億1,160万円の見通しとなった。2010(平成 22)年度では、14億4,200万円に減らす予定だったが、8億円悪化して、22億7,847億円に膨らむことになった。
中島麗子委員(共産)は、「改革プランとの乖離が出ており、下方修正が必要になる。平成25年度でも資金不足額は残るが、どう考えているのか」と質した。
病院局経営管理部・小山秀昭次長は、「改革プランと比べて大きく乖離している。北海道と協議して、どうプランを見直せば良いか検討した上で、22年度中の見直しが必要になる。医業収益は下方修正せざるを得ない。25年度の資金不足解消に向けて、収支をどう改善するか北海道と検討したい」と答弁した。
吉川勝久経営管理部長は、「決算見込みや診療報酬の改定などを見て、25年度に解消出来るように、財政部と協議しなければいけない。22年度に入ったら、改革プランのそのものの改定も検討したい。1日も早い新病院の基本設計スタートは、医師確保の働きかけをしたいので、切なる思い。最大の課題は、資金不足解消で、解消計画を道と協議して、6月に基本設計の議案を計上できるよう最大限努力したい」と述べた。
濱本進委員(自民)は、「改革プランを完了しないと、起債も難しい。一般会計の繰出基準も見直さないといけないと思う」と質問。
貞原正夫財政部長は、「改革プランの見直しの時に、今は期間や額を言えないが、一般会計の繰出しも想定される」と答弁。
高橋克幸委員(公明)は、「一般会計からの繰入金は、22年度がピークだったが、財政部の考え方としては、22年度は無理だと思う。23年度、24年度の中である程度試算しないといけないが見解を」と質問した。
貞原部長は、「22年度の中で増額した資金不足額をどう解消するか検討することが先決。何年間で解消するか、その中で繰出しをいくらだせるか考えていく。22年度の当初予算では見込んでいないが、21年度決算などを見て、場合によっては見直さないといけない」と答弁した。
一般会計から病院への繰出金は、不良債務解消・財政支援を合わせ、山田勝麿市長の任期10年間(12~22年度)で150億円を超える。これまで、これ以上の一般会計からの繰出は難しいとしていたが、財政部長が、新たな追加繰出しを示唆したことで、病院への税金負担がさらに増える可能性が大きい。関連記事
病院局経営管理部・小山次長は、「過疎債の条件は、病院事業債と変わらず、借りる借りないは、まず平成25年度での資金不足解消は譲れない」と、秋元智憲委員(公明)の質問に答えた。借金の7割を交付税で手当てする過疎債を病院建設に充てたいとする市だが、今の苦しい状況を改善しないと、過疎地域に指定されても二進も三進もいかない状態だ。関連記事
山田勝麿市長は、3期12年の公約である新病院建設を進めるため、6月の市議会に、現在中断している基本設計の再開のための議案を提案することにしている。
大橋一弘委員(平成)は、「平成19年の基本設計中断時には、どこまで業務が完了しているのか、設計会社に払う金を議論した。43%で2,581万円で納得出来る金額ではなかったが、決着はついたと思った。今後、基本設計を再開するに当たり、ベッド数や立地条件でかなりの変更が起きているが、前回の業者と随意契約することが概ねの考え方と思う。残り57%3,520万円を支払うことで、契約をするのが正当と思うが」と質問。
吉川経営管理部長は、「ゾーニングパターンは地形が変わり手戻りが出てくる。秘密会で、何冊かの資料で実績報告を出しましたが、業者と協議した結果の議事録はあるが、これを見て進めることは他の業者では無理かと思う。以前の契約は解除したので、気持ちとしては残った(パーセンテージ)でやって欲しいと思うが、再開した時に手戻りとなったものが、どれくらいの人工で出来るか検討しての随意契約となる」と、築港地区で進めた基本設計のゾーニングパターンが無駄になることを明らかにした。関連記事
◎関連記事1 2 3 4 5 6