磯焼け対策 「小樽港"ゆりかご"プラン」


yurikagoplan2.jpg 小樽の企業と漁師がタッグを組んで、小樽港の磯焼け対策に取り組んでいる。
 この磯焼け対策「小樽港”ゆりかご”プラン」に取り組んでいるのは、株式会社ミツウマの環境事業部と高島の漁師・成田正夫さん。
 磯焼けは、「浅海の岩礁・転石域において、海藻の群落(藻場)が季節的消長や多少の経年変化の範囲を越えて著しく衰退または消失して貧植生状態となる現象」(水産庁)。
 一旦、発生すると回復するまでに長い年月が必要で、沿岸漁業に大きな影響を及ぼす。1910年以降の市内高島では、1℃の水温上昇傾向が明らかになっており、「今の高島は磯焼け状態」(同社)という。
 このため、環境事業部の活動の一環として、「昔の小樽の海を復元させたい」と、漁師の成田さんの協力を得て磯焼け対策に乗り出した。
 一般的な対策法として用いられているコンクリートの人工海藻礁を作り、海中に入れて、コンブを生育させることにしている。
 この海藻礁を作る際に、桃内の北後志クリーンセンターから出る焼成スラグを入れた。これにはカルシウムなどの栄養分が入っているため。
 焼成スラグに小砂利、破砕ホッキ貝殻などを混ぜることで配合を変えた12個の試験体を作り、昨年の12月24日、高島湾内の海底に、10m間隔で沈めた。
yurikagoplan1.jpg 「本来ならば春に入れた方が良かったが、作業が遅れてしまい冬になった。コンクリートとブイをつなげるためにヒモをつけているが、このヒモにはコンブがついていると情報が入っている。本当は沈めたコンクリートにつくのが良いが、コンクリートから出る栄養で、育ってくれれば、まずはそれで良い。
 コンブが育って水産資源が良くなれば、小樽の産業となる。それが観光にもつながっていけば、小樽の街の経済も少しは良くなる。そのための実験であり、環境事業は儲かるからやる、儲からないからやらないということでは、何も進まない。小さなことの積み重ねだと思う」(ミツウマ環境事業部)としている。
 同社では、2月24日(水)に、一度、コンクリートを引き揚げて、従来のコンブとの比較、水中環境に及ぼす特性などを調査することにしている。(写真提供:株式会社ミツウマ)
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