市が不適切な事務取扱い 6,751万円の損害 



小樽市は、2月2日(火)13:00からの記者会見で、福祉医療助成制度(重度心身障害者・ひとり親家庭・乳幼児対象)で、市が立て替え払いした高額療養費の請求漏れがあり、総額6,751万494円の回収が困難となっていることを明らかにした。
kougakuryouyou1.jpg 記者会見では、山田厚副市長、山﨑範夫総務部長、中村浩医療保険部長らが、「高額療養費の請求及びこれに付随する業務において、平成14年度から平成18年度までの5年間、不適切な事務取扱い(未請求)があったことが判明しました。保険者へ請求することができず、市に損失を及ぼすこととなりました」と陳謝した。
重度心身障害者・ひとり親家庭・乳幼児を対象とした福祉医療助成制度の高額療養費は、健康保険に加入する市民が、医療機関の窓口で支払った医療費の自己負担額が高額となった場合に、その分が本人に支給される制度。市が一旦立て替え払いし、後日、健康保険の保険会社に請求し、歳入として受け取る仕組み。保険者への請求には、加入者本人の委任状が必要。市が立て替え払いする額の2分の1は、北海道の助成対象となっている。詳細はこちら
請求漏れがあったのは、2002(平成14)年度から2006(平成18)年度までの国民健康保険以外の健康保険加入者分。このうち、2005(平成17)年度までは、担当職員が一度も請求事務をしていなかった。高額療養費の請求時効は、2年間と定められており、この5ヵ年分で、計800件・総額6,751万494円が回収不能となった。この不適切な事務取扱いで、市に多大な損害を与えることになった。
この高額療養費の未請求問題は、2008(平成20)年度に登別市など道内13市町でも発覚した。登別市では、約4,500万円が回収不能となり、事務にかかわった職員11人に、4ヵ月間の給与を10%減額の処分を行った。また、市長が100万円、副市長が85万円、教育長が70万円の支払いを申し出た。こちら
山田副市長は、「道と色々やりとりしている中で、2年に一回検査が入っている。検査が入って適正ですとお墨付きをもらうのですから、人事異動後の職員は、当然、過去に未請求はないということで事務をやっている。それで、19年度・20年度の検査の時に、こういう事例があるので調べて下さいと言われて、市独自に調べた。私どもとすると、適性ですと言った道の指導検査自体がなんなのかという気がしている。
kougakuryouyou2.jpg 職員の問題は、懲戒審査委員会で、厳正に対応したい。これに携わった職員、管理監督の責任の立場にあった職員も含めて対応したい。損害を与えた分は、懲戒処分とのかかわりで決めるが、市議会第1回定例会でお願いする分には、公費を財源にして戻す。
登別市さんが(職員負担で返還)したからといって、それを形式的にやるつもりはない。少なくともそういう対応をしたということは承知はしているので、それを含めて市職員全員がどういう認識しているかによりますし、強制徴収する格好には当然ならない。怠った人は特定の人方なのに、全職員が強制的に給与からなんかするということも法律上出来ない。一つの選択肢として、職員全員の理解が得られればあるかもしれない。登別や他市の事例を見て検討させてもらいたい。基本的には(市民の負担にはさせない)そういう性格のものだなと思っている。
組織の構造よりも、責めるのは職員の質の問題だと思う。懈怠する前提で業務をしているとは思っていない。過ちを犯すとか、税の誤賦課するとか、人間だからあるが、結局それを全くやらないという状況は、想像もしたことないし、処分の基準の中に、懈怠した職員にこうするってない。懈怠ってどこ探してもない」としている。
本来請求し歳入に計上するはずの6,700万円もの金が、なんらの請求事務も行わない市のズサンな事務取扱いで消え去ってしまった。この市のミスを市民負担に転嫁することがあれば、到底、市民からの納得は得られないことは明らか。今後の市の対応が問われている。