市職員の職務怠慢で、高額療養費6,700万円が未請求となっている問題で、市長や副市長は、道の監査で御墨付きをもらったと責任逃れしているが、北海道保健福祉部は、本社の取材に対し、「あくまでも小樽市の事業」で市の対応に問題があったとの見方を示している。
この高額療養費6,700万円未請求問題で、山田勝麿市長は、「道の指導の監査が入って、概ね良好という判断もらっといて、そしておかしいと言われても」。山田厚副市長は、「適性ですと言った道の指導検査自体がなんなのか」と、市のNo.1、No.2が、揃って道に責任転嫁の発言を続けている。
これに対し、北海道保健福祉部は、「あくまでも小樽市の事業であって、きちんと自分の監督で事務処理要領に沿ってされることが大前提。補助事業となっているので、我々は、監査ではなく、市が提出した一部のサンプルを基に事務指導検査を行っている。お墨付きを与えるものではないので、道の責任と言われても」と話した。
重度心身障害者・ひとり親家庭・乳幼児を対象とした福祉医療助成制度の高額療養費は、健康保険加入者の医療費自己負担分が高額となった場合、その分を支給する制度。市が一旦立て替え払いし、後日、各保険者に請求し、歳入として受け取る仕組み。保険会社に請求する際に、加入者から代理受領委任状が必要となっている。地方自治体の事業だが、北海道が2分の1を補助している。詳細
問題となっているのは、2002(平成14)年度から2006(平成18)年度までの小樽市の国民健康保険以外の健康保険加入者分。担当職員の怠慢で、驚いたことに一度も請求事務が行われなかった。これをチェック出来なかった市の職員体制のお粗末さに起因している。高額療養費の請求時効は、2年間と定められている。この結果、時効になった計800件・総額6,751万494円が回収不能となり、市に多大な損害を与えることとなった。
北海道福祉保健部では、「道の責任と言われても、一端があるとは考えていない。あくまでも小樽市の事業で、事務指導要領に沿ってされることが大前提。一昨年にも道内13市町で同じ問題が起こったが、他市町は、自分のところの事業として受け止めており、小樽市のように、道の責任と言われたことはない。
道の補助事業なので、原則1回、保健所の都合で隔年になる場合もあるが、事務指導をさせてもらっている。しかし、これは、隅々まで見てお墨付きを与えるものではない。市町村の処理が円滑に行われているかを見て、間違いがあれば助言、指導をさせてもらう。
その場ですべて確認して、事務が絶対大丈夫と言えないので、全体のうちから何件かピックアップして確認している。これまでは、国民健康保険もその他の保険者も全て一緒に見ていたが、一昨年の13市町の問題があってからは、見るところを明確にした」としている。
直接、事務指導検査を行った後志保健福祉事務所では、「高額医療費すべてをチェックすることはできず、サンプルを取り出して一部を見てきた。この一部で、請求が行われていたので概ね適切と結果を出してきた。監査と違って、事務処理が適切かどうかのチェック。各市町村の条例に基づいた事業なので、補助を出している観点から指導検査を行っている。監査ではない」と述べている。
小樽市のこの無責任な態度に、市民からは、「報道を見ますと、市長は陳謝しないどころか、現在でも道に責任があるとの報道ですが、道に責任があるのにお金を道に返還するため、議会に予算を提案していることは矛盾していませんか。小樽市に責任がないのであれば道にお金は返さないで徹底して戦ってください」とのメールが寄せられた。
2月19日(金)13:00からは、小樽市議会厚生常任委員会が開かれ、この問題の審議が行われることになっている。
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