この4月から3期12年目の任期最終年を迎える山田勝麿市長は、初当選以来、市立2病院を統合新築する公約を掲げ、JR北海道の築港用地に建設費156億円(用地代含まず)・総事業費220億円の豪華新病院の建設に邁進してきた。
2006(平成18)年に、JR用地に病院建設が可能となるよう、都市計画の土地利用を「多目的交流・商業地区」から「医療・福祉関連サービス業務地区」に変更した。
しかし、一般会計と病院会計の累積赤字や不良債務の拡大で、起債許可の見通しが立たず、2007(平成15)年11月に新病院建設のために発注していた基本設計を中断し、事実上、築港地区での建設を放棄せざるを得なくなっていた。関連記事
これで宙に浮いてしまったのが、北海道旅客鉄道株式会社から購入予定だった築港用地(築港114番・3万5,000平米)。市は、2007(平成19)年2月7日に、「貴社所有地を病院用地として取得したく依頼する」との公文書を、同社社長宛に提出した。
ところが、一向に進まぬ市立病院移転新築計画にしびれを切らした同社は、2009(平成21)年5月13日に、「土地売買の協議で、貴市のご意向が確認出来ない状況にあります。実状としては協議保留の状態にありながら、当該用地の固定資産税及び都市計画税を貴市に支払っております。貴市に譲渡するまでの固定資産税及び都市計画税を軽減していただきたく、措置についてもご検討下さるよう併せて要望申し上げます」と、税金をまけろとの正式要望が届いていた。
これに対し、市は、昨年11月26日に、「病院問題につきましては、当面見通しが立たない状況ではありますが、本市都合により当該用地が未活用でありながら、貴社に固定資産税等を毎年負担していただいていることもあり、当該用地取得の最終判断は、来年度の早い時期までにはご報告申し上げたいと考えております。また、本市が当該用地の取得を断念した場合には、貴社の当該用地活用等のために必要となる都市計画の変更手続等に誠意を持って対応いたしますことをお約束申し上げます」と回答した。
昨年12月17日の小樽市議会・市立病院調査特別委員会(成田晃司委員長)では、山田厚副市長は、「待てって言ったら税金をまけろと言ってきた」、「市が地区計画の変更をやって病院を建てれるようにしたので、当然、買わないからどうぞって言うと、彼らにとっては網かけられたまま放り投げられるから、小樽市としては地区計画の検討について対応したいといった内容を公文書で出した」と、同社とのやりとりを明らかにしていた。関連記事
このため、本社は、この公文書の開示を昨年12月22日に求めていたが、1月に入り、開示決定通知書が届き、3通の公文書が開示された。これにより、市のお粗末な新病院計画の破綻と税金まけろの要望と地区計画のやり直しというみっともない対応が明らかになった。
JRからの要望書は、固定資産税及び都市計画税の額並びに印影が、法人の権利を害するおそれがある情報に該当するとして、黒塗りされている。
新病院の建設中断で、基本設計を解約し業務委託料2,581万円を支払ったのは税金の無駄遣いだとして住民訴訟が起こされているが、JR築港用地で、市が「誠意を持って対応」して、市民の目の届かぬところで、黒塗り部分の税金をまける事態が生じれば、これもまた住民訴訟の対象となるのは明らかだ。
この公文書の開示にかかった費用は、コピー3枚分の30円。