石狩砂丘の風力発電計画 会社と守る会が話し合い


zenibako.jpg 銭函4・5丁目の石狩砂丘に、高さ100mの風力発電機20基の建設を計画する「日本風力開発株式会社」(東京都港区・塚脇正幸代表取締役社長)と、この建設に反対する「銭函海岸の自然を守る会」(後藤言行代表)との話し合いが、12月19日(土)13:00~17:00、生涯学習プラザ(レピオ・富岡1)で行われた。
 これは、守る会が、同社に要望して実現した。風力発電計画は、今年5月に明らかになった。銭函4・5丁目の石狩砂丘(新川河口から石狩湾新港西端まで・銭函4、5丁目)に、高さ100mの風力発電機20基を設置する計画。
 銭函4・5丁目を選定したのは、「1年を通して風力発電に適した風が吹き、風力発電機の陸揚げや運搬が可能なこと、送電線と接続できることの条件を満たしているから」。出力2,000kwの風力発電機を20基建設し、合計40,000kwを確保する。同時に合計30,000kwの大容量蓄電池を併置する。この年間発生電力は、約30,000世帯で消費される電力に相当する。関連記事
 北海道自然観察協議会の後藤言行会長は、小樽の日本自然保護協会自然観察指導員資格者20名、野鳥の会小樽支部会員などで同会を7月に結成し、石狩砂丘の生態系全体を守るための反対運動を行っている。建設候補地には、ハマナスの咲き乱れる砂丘と湿地、海岸カシワ天然林があり、日本では絶滅したと思われていた幻のきのこも生息するため、貴重な生態系として知られている。関連記事
 同社は、6月1日から「小樽銭函風力開発建設事業に係わる環境影響評価」を進めている。騒音や低周波音、地形及び地質、動物、植物、重要な種及び注目すべき生息地などの8項目について調査している。12月19日(土)、同社の立地開発部調査グループの担当職員2人と環境調査の委託業者・パシフィックコンサルタンツ株式会社の職員4人の計6人が出席し、中間報告を行った。こちら
 会場には約30人の市民が集まり、「あそこの砂丘に建てるメリットは」。「風力発電機一本建てるのに、工事区間が30m×50mで、20m×20mの深さ5mの穴を掘るだけでは済まない。一度壊したら元に戻らなくなる」。「調査が短期間過ぎる」。「この説明会がアリバイづくりにならないか心配」。「もし建てるなら、この程度の調査では不満」などの批判や質問が飛び交った。
 後藤代表は、「風力開発(株)が行っている調査の内容をようやくのことで見せてもらいましたが、方法書で抽出された重要な植物20種のうち90%は砂丘上には生えない植物です。オジロワシが風力発電機にぶつかるという問題が取り沙汰されているが、カラスなら問題にならないという話ではない。一度潰したら砂丘は回復しない。非常に脆弱でまだまだ知らない貴重な自然がある。見たことも聞いたこともない北海道にない植物の名前を並べて、調査しましたというのではインチキとしか言いようがない。風力はクリーンだと言われているがまやかし。低周波音の問題もある。環境評価のやり方がインチキでは、風力発電機を建てることには反対だ」と強く訴えた。
 これを受けて、同社の開発本部・立地開発部調査グループは、「風車を建てられるところは全国的に限られている。やり方の問題はあったが、要望があれば少しでも応えたい。計画場所は、風車を陸に揚げる港に近く、風境が良い。もう一度全体的に調査を見直すことにする。評価書案をまとめる時には、納得いただけるようにしたいので、またご相談させて頂きたい」(佐久間日良次長)と答えた。
 同社では、今後の環境影響評価の結果によっては、「風車の本数が減るかもしれないし、砂丘なので技術的に建てることが出来ないなら計画の中止もありうる」としている。
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