「小樽カントリー倶楽部」大揺れ ワンマン理事長が辞任


otarucc.JPG 北海道のゴルフ発祥地である名門ゴルフ場「小樽カントリー倶楽部」(銭函3)で、理事長による経費の私的流用が明らかになり、6月29日(月)に理事長が辞任するなど、大揺れに揺れている。
 「小樽カントリー倶楽部」は、1928(昭和3)年4月、銭函地区に3ホールのゴルフコースを作り、道内初のゴルフ場としてオープン。1974(昭和49)年6月には、新倶楽部ハウスと18ホールのコースを完成させた。1978(昭和53)年に日本プロ選手権、1990(平成2)年に日本オープンゴルフ選手権の舞台となり、プロによる名勝負が繰り広げられ、道内の一流ゴルフ場として認知された。2004(平成16)年からはサン・クロレラ・クラシックを開催している。
 同倶楽部は、土地・建物・設備を所有する株式会社小樽ゴルフ場から、施設全部を一括賃借して、年間の賃借料を支払って運営している。
 株式会社小樽ゴルフ場の代表取締役は、長年にわたって、フタバ倉庫(株)代表取締役会長の菅原春雄(79)氏が務めていた。また、小樽カントリー倶楽部の理事長も菅原春雄氏が兼任する”二重構造”となっていた。
 今年4月末に同ゴルフ場に小樽税務署の税務調査が入り、菅原理事長が出張旅費約500万円を私的に流用していたことが判明し、経費として認められないと否認された。このため、同氏は、高齢と健康上の理由で、25日(木)に辞表を提出した。29日(月)に臨時理事会が開催され、小樽カントリー倶楽部の理事長と株式会社小樽ゴルフ場の代表取締役の辞表を正式に受理した。理事長と代表取締役は、3月に再任されたばかりだった。
 今後、早急に調査特別委員会を設置し、8月までに不透明な経理処理を解明することにしており、調査結果が出次第、現理事は、全員引責辞任することにしている。
 ワンマン理事長による同倶楽部の経営で、3年前から「預託金制度」を導入。道内一高い名義書換料100万円のほかに、新入会員から200万円の預託金の徴収を始めた。このため、新会員は、預託金200万円を積んだ上で、株式会社小樽ゴルフ場の90株(額面1万円)の株主となり、倶楽部施設を利用することが出来る。
 この預託金は、株式会社小樽ゴルフ場に入り、2006(平成18)年12月、9,000万円だった預かり金が、2008(平成20)年12月には、2億5,200万円にまで膨らんでいる。預託金を、何のために集めているのか、何に使おうとしているのかは、会員には全く知らされていない。
 200万円の預託金を徴収することで、会員券価格は暴落し、株券はただの紙切れ同然になってしまったと嘆く会員が多い。
 元理事は、「倶楽部と株式会社ゴルフ場の運営は、理事長が一手に掌握して、やりたい放題だった。他の理事などには、会計の話などは一切なく、決算の紙一枚が渡されるだけだった。理事長と一緒に何度もプレーしたことがあるが、料金を支払ったのを一度も見たことはない。意見を言う人は、みんな切られて辞めさせられた。会員券も預託金を導入してからは、紙切れになってしまって、みんな怒っている」と話している。
 また、長年、同倶楽部の常務理事と(株)小樽ゴルフ場の取締役を務めていた前(株)小樽グランドホテル代表取締役社長・竹内恒之氏は、自社の破綻を理由に、3月に、常務理事・取締役を辞任している。理事長の辞任はこの常務理事に次ぐもので、短期間の間に、これまでの運営を仕切っていた理事長・常務理事の2人が辞任したことになる。
 さらに、竹内前常務理事に、報酬の支払いの事実が浮かび上がった。定款では、株式会社小樽ゴルフ場は、取締役及び監査役の報酬は、全員無報酬としており、同倶楽部の役員も名誉職とされ、職務のために要した実費しか請求出来ないことになっている。今回、定款に反して、報酬を支払っていた事実が判明したことで、問題は、さらに大きくなる。
 コースは一流、会員券は三流以下となってしまった同ゴルフ倶楽部。長年君臨し、”菅原天皇”とも呼ばれたワンマン理事長が退場した。同倶楽部の再生には、絆創膏を張っただけでは済まず、外科的な大手術が必要となる。さらなる大きな傷が出ることにもなり、刑事事件に発展する可能性も取り沙汰されている。
 ある役員は、「菅原理事長が、小樽CCを一流のゴルフ場にさせたことは一定の評価が出来るが、ワンマン体制で会計帳簿類なども不備があり、預託金の導入なども問題で、今回のことはまだ入口に辿り着いただけだ。今後、自らの手でどこまで膿を出しきれるかが問われている」としている。
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