北海道の鉄道発祥の地・手宮の小樽市総合博物館敷地内で100歳を超えてもなお現役で走っている蒸気機関車「アイアンホース号」を祝うバースデー事業が、8月8日(土)~16日(日)の9日間、同館(手宮1)で開催される。
「アイアンホース号」は、小樽で最初に走った蒸気機関車を造ったアメリカ合衆国のH・K・ポーター社が、1909(明治42)年12月に製造。全長6.80×全幅2.18×全高2.90m、軽油または再製油を燃料としている。テンダー型蒸気機関車の中で世界一古いとされている。
1995(平成7)年の小樽交通記念館の建設に伴い、約1億円かけてアメリカから輸入された。総合博物館としてリニューアルされてからも、敷地内の約400mのレールの上を1日4往復し、多くの子供たちを楽しませている。
この100周年を祝うため、今年3月に実行委員会(西條文雪実行委員長)が発足した。これまで、記念事業としてふさわしいアイディアを公募し、計画を練ってきた。このほど、8日(土)から16日(日)までを100年祭ウィークとし、様々なイベントを開催することを決めた。
この9日間、アイアンホース号の特別運行を、11日(火)の博物館休館日を除く毎日行う。日米国旗を掲げる装飾や、カブース(車掌室)を連結して運行する。1万人限定の記念乗車券を配布する。プロのカメラマンによる撮影ポイントも設置する。館内では、特別展「北海道の近代化とアメリカ」の開催とともに、「100歳を迎えたアイアンホース号」をテーマとした絵画コンクールの展示会を予定している。
8日(土)15:00からは、アイアンホース号前でオープニングセレモニーを実施する。アメリカ大使館関係者によるバースデーメッセージの発表や感謝状の授与、テープカットなどを予定している。メッセージ発表では、「バラク・オバマからのメッセージもあるかもしれない」という。絵画コンクールの入選作品の表彰式もある。
9日(日)15:00からは、野外特設ステージでカントリー&ウェスタンコンサート、15:45からは、館内しづかホールでクラシックコンサートを開催する。10日(月)18:00からは、しづかホールで記念講演会も予定している。
10日(月)~12日(水)の3日間は、18:00から、アイアンホース号の客車やその周りで、ワインや地ビールを楽しむバースデーパーティを開く。11日(火)の休館日でも夜は開催する。
最終日の16日(日)は、15:00からのカントリー&ウェスタンコンサートで閉幕する。
イベントはすべて無料だが、入館料がかかる。一般400円、高校生・70歳以上の市内在住者200円、中学生以下無料。10日(月)~12日(水)のバーステーパーティは別途飲食代が必要。
同実行委では、このほか、HOゲージ(鉄道模型)展示や小樽のアメリカ遺産ツアー、北海道鉄道史探索バスツアー、映画「アイアンホース」の上映会、眞舩直樹氏の基調講演「世界の楽しむSL保存活動」(仮称)と公開討論会の開催も計画している。
土屋周三事務局長は、「日本を開国に導いたアメリカは、ヨーロッパが本州の近代化を行ったため、日本では美味しいところがないと思っていた。こんな時に、黒田清隆が、ユリシーズ・シンプソン・グラント大統領に、北海道の開拓をお願いした。グラント大統領は2つ返事で引き受けて、ホーレス・ケプロンを北海道に派遣し、北海道が、アメリカの日本進出の起源となった。
九州はドイツ流、関東はイギリス流で、北海道はアメリカ流となったため、ポーター社の蒸気機関車は北海道だけしか走っていないので、マニアの中には、なぜポーター社の弁慶号や義経号が本州に展示されているか疑問に思う人がいるくらいだ。
この100年祭は、アメリカと北海道の関係をクローズアップ出来るチャンスで、小樽の人、手宮の子供たちには、自分たちの街にこういった歴史があって、鉄道施設があるということを知ってもらいたい」としている。
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