「新病院は量徳小と現在地に」 並木病院局長が市長に提言


 市立小樽病院と小樽市立脳・循環器・こころの医療センター(旧・第二病院)を統括する病院局の並木昭義局長が、8日(月)に市長室を訪れ、「新病院は、量徳小学校と今の病院の場所を合わせて建てた方が良い」との意向を山田勝麿市長に示していたことが分かった。
 並木局長は、4月に就任後、再編・ネットワーク化協議会で、医師会や市内の公的病院の3院長などと話し合い、市内の医療や市立病院のあり方について議論を交わしてきた。 市長とも度々意見交換の場を設け、市立病院の置かれている現状や協議会での意見、医療関係者と話し合いの結果を伝えてきた。
 同局長は、9日(火)の本社のインタビューに対し、「新病院の建設地は、量徳小と今の現在地をあわせて一緒にして、無駄のない経済的なコンパクトな病院を建てたい」と語った。
 「病院事業の事業管理者として、2ヶ月、医療関係者など色々な人に会って話をして、市民にも色々なことを言われた。先週、先々週に、北大や札幌医大を回ったが、小樽の市立病院にはこうしますというビジョンがないと、大学側も派遣する医師が少ないので、医師確保が難しいことが分かった。早く市立病院の方向性を決めて、医師や職員のモチベーションを上げるために示さないといけないと思った。
 2つの病院を1つにして、医療の質を上げる。脳外科、心臓血管外科・外科、循環器内科、がん診療、放射線、精神科、耳鼻科、眼科など、市内の病院にないものを入れて、住民の人たちが掛かれるようにする。高齢化が進んでいるので、ちょっとのことで札幌まで行くのは大変という人もいる。そういう人たちを受け入れて、治療できるようにしないといけない。これまで、建設地については色々もめていたが、このままだと、小樽市民が困る。市民が安心した医療を受けられるようにしたい。
 医師を呼ぶには、1年ぐらいかかる。誰でも良いわけではない。大学の医局も、もうすでに来年の人事に向けて動いており、今年の医師確保にも努力はするけど、今から将来の市立病院のビジョンがないとだめ。今までは、ビジョンが見えないから、医師が辞めていった。
 着任前から新病院についての話を聞いていたが、実際に見てみると、医師の立場から隣の敷地を使うしかないと思った。すでに、議会で通った議案もあるし、詳しいことも分からないが、医者の立場から見た意向として市長に述べた。私だけでなく、医師会や公的病院の先生も、医者の立場から見てみんな同じことを言っている。市長は、病院だけの問題でなく、教育も重要なので、市民にとって何が良いかを考えて決めると言った。
 量徳小と今の現在地をあわせて一緒にして、無駄のない経済的なコンパクトな病院を建てたい。現在の病院の許可病床数を870から半分にする議案を6月の議会に提出するが、新病院の規模はさらに検討し、まだまだコンパクトにする。現在地の周辺だとアクセスも良いし、海と山が見えるので景観もすごく良い。患者にとっては重要なこと。
 きっと、6月議会で、議員さんから新病院の建設地について質問が出ると思うが、私は、この思いを述べるつもりだし、市民にも伝え、小樽の医療を良くしたい」 と語った。
 この並木局長の提言に対して、医師会の津田哲哉会長は、「前々から、築港地区は適地ではないと話し、量徳小が良いとしていた」。市内の開業医は、「並木先生の考えに賛成だ。医師会も好ましい方向だと思っている」。市内商店主は、「今度は、ちゃんと市民に病院を量徳小の敷地に建てるからと説明すれば、統廃合の問題もあるし、反対の意見はないのでは」と話している。
 新病院の建設は、2年前の市長選挙の最大の争点となり、築港地区での巨大豪華病院建設を訴えた山田市長が当選を果たした。 市長は、この選挙直前に、築港地区用地の購入費約9億円の起債の目処が立たないまま、新病院建設の基本設計業務を久米設計札幌支社に約6,000万円で委託した。
 しかし、この土地購入と実施設計のための総務省の起債許可の見通しが立たないことから、基本設計業務を解約中断し、解約料として2,581万円を委託先の業者に支払った。このため、現在、市民が、この2,581万円の返還を求めて、市長を被告に住民訴訟を継続している。
 病院事業の管理者である並木局長から「新病院は、量徳小学校と今の病院の場所を合わせて建てた方が良い」との提言を受けた市長は、「重く受け止める」と答えた。病院局経営管理部では、「並木局長が、市長に考えたことを話した以上、今までの築港地区との考えた方のままにはならないと思うが、すぐに検討することは難しく、一定程度時間がかかる」としている。
 この並木局長の提言を受けた山田市長が、6月10日(水)から始まる小樽市議会第2回定例会で、どのような答弁をするかに注目が集まることになる。
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