懲りない市の病院会計 新年度もカラ数字並ぶ


 累積欠損金62.5億円、資金不足額28.3億円を抱える小樽市病院事業会計の実質的な審議が17日(火)、市議会病院調査特別委員会で行われる。
 市が提出している2009(平成21)年度の病院事業予算は、累積欠損金62.5億円、資金不足額28.3億円を抱え、一般会計繰入金20.7億円、退職手当債・特例債借入残高20.4億円という巨額の負の数字が並ぶ。
 しかも、市は、基本的な考え方として、2009(平成21)年度の収益の核を成す入院・外来収益は、昨年に続く2年連続、カラ数字に頼る机上のお手盛り予算となっている。
 2009(平成21)年度の収益の核を占める入院・外来収益は、2008(平成20)年度最終予算より、3.7億円の増と弾いている。入院収益では、患者数を対前年比で一日平均18人増の計6,570人増と弾き、53.8億円を計上し、2.6億円の増としている。外来収益では、患者数を一日平均20人増の計3,294人増と弾き、27.9億円を計上し、1.1億円の増としている。
 入院・外来患者数と収益が右肩下がりで減少しているのに、なぜか、前年度よりも増加するとのカラ数字が並ぶ。同じく市議会第1回定例会に出されている補正予算では、2008(平成20)年度では6億円の収益増を計上していたが、患者数も減少し、7億円もの収益減となり、補正をしたばかりなのに、新年度予算は収益が3.7億円増加するとの相変わらずの能天気な数字を並べている。
 市は、この増加分は昨年9月で退職した呼吸器内科の医師2名分の復活を見込んでいたが、4月から復活される見込みがなく、呼吸器内科の45床のベッド数は削減する。言っていることと実際とが逆になるのが、小樽市の常套手段となっている。
 病院会計の破綻で、一般会計からの繰入金が年々増加している。2007(平成19)年度に16.3億円、2008(平成20)年度に17.5億円、2009(平成21)年度に20.7億円と、市民負担が強まっている。特例債18.8億円の借入返済も、病院単独では出来ず、全額一般会計からの繰入金となっている。
 巨額の累積赤字を抱え、借金に次ぐ借金で、その場を糊塗する市の病院会計は、他市では考えられぬ、お粗末な予算編成になっている。
 17日(火)の市議会病院調査特別委員会が、どこまでこれらの問題点をチェック出来るかが問われることになる。まやかしの新年度予算編成を見抜けず、チェックも出来ないとしたら、何を調査する調査特別委員会なのかが問題となろう。
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