市の特別景観地区に指定されている旧板谷邸(東雲町1)の敷地内に、9階建・25mの賃貸マンション建設計画が浮上している。
旧板谷邸は、小樽が生んだ海運王・板谷宮吉(板谷商船の創立者)の邸宅。約5,000平方メートル(約1,500坪)の敷地に、約482平方メートル(約146坪)の和洋折衷の木造2階建。木造の母屋に続き、洋館が併設され、道内有数の大邸宅として知られている。
1994(平成6)年には登録歴史的建造物としていたが、板谷家が、登録抹消を売買条件に、ホテルソニアのオーナー・菅原宝珠氏に売却した。この後、フレンチレストラン、和室の食事処、露店風呂付の入浴施設、石造倉庫を利用した資料館などに大規模に改築され、2005(平成17)年4月に「海宝樓」としてオープン。同年6月に市歴史的建造物に指定された。
しかし、客足が思うように伸びず、原油高騰の影響もあり、2007(平成19)年12月24日から休業となっている。同建物内にあるフレンチレストラン「ラ・シュミネ」だけは、現在も営業を継続している。
3月5日(木)の小樽市議会第1回定例会・予算特別委員会で、菅原氏が代表の株式会社不動産リサーチが、この旧板谷邸の敷地内に、9階建・25mの賃貸マンションを建設することが浮上した。
市議会の与野党問わず、「道道臨港線沿いに建設された青山と同じことになるのではないか」、「板谷邸隣接地にマンションはいかがか」、「周辺の景観と合致するのか」、「市のまちづくりとはなにか」など意見・質問が出された。
市建設部では、「オーナーとは継続して協議を続ける。高台に25mのマンションが建つと景観上は好ましくない。堺町も近いので、景観に配慮して計画の見直しをしてもらうように話をしている。計画の概要の説明をしてもらい、景観審議会などの意見を聞いてもらい、関係者を含め市民に広く伝わるように説明会の開催を行ってもらうようにしたいが、法的には制限出来ない」と答弁した。
同所は、小樽市景観計画の堺町本通地区内に入っている。「25m以内と歴史的建造物と調和した建物」と制限されている。こちら
菅原代表は、「こんなご時世なので、土地を売りに出しても誰も買いに来ない。海宝樓を2年やって分かったのは、木造建築の冬季のあまりの寒さで、足に霜焼けが出来てしまった。現在、設計会社に頼んで敷地の北西側の日銀寄りに、敷地面積の4分の1を使い、25m・9階建・1LDKから3LDKまでの52戸の賃貸マンション建設の事前協議を市と行っている。説明会などをして、建築確認などが下りれば、自己資金と銀行融資の金で建設する予定だ。小樽市は、グランドホテルもなくなり、人口が減り続けており、本当に寂しくなってしまった。稲穂地区で賃貸マンションを建てたら、病院の先生たちなどが入居してくれた。賃貸マンションを建てれば、札幌から通わないで、小樽に住む人が増えることになればと思っている。建築確認がいつになるかまだ分からないので、着工時期は分からない」と話している。
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