博物館ゼミナール「小樽学」(市総合博物館主催)の第1講「空から眺める小樽の地形と地質」が、3月8日(日)10:30~12:00、同館研修室(手宮1)で開催された。
同講座は、3週にわたって、小樽の大地を作り上げた火山活動を地形的・地質的に考察する。
第1講には、約50名の市民が集まり、研修室内の椅子は埋まり、立ち見の聴衆も見られた。講師となった鈴木哲夫・地図と鉱石の山の手博物館長、櫻間静恵・同館学芸員の2人は、小樽市発行の「小樽の地質環境」の資料を中心に、ふだん簡単に見ることが出来ない場所を航空写真をスライドしながら、小樽の地形と地質を紹介した。
小樽の地形は、4つの地域に区分されている。急峻な地形の山地地形区は安全岩溶岩、比較的緩傾斜の丘陵地形区は火砕岩・堆積岩、複雑な地形を呈する海岸地形区は安山岩の火砕岩、平坦地の河川・砂浜地形区は段丘堆積物・沖積層が分布する。海岸地形区は、熱水変質による地すべりが認められ、小樽港湾の埋立地では液状化の可能性もあるとした。
「これらの変化に富んだ地形は、この地域の火山活動や熱水活動と密接な関係により形成されたものです。特に火山活動に伴う熱水の挙動は、地下の地質構造とも関係し、地上での大気圧下の水と性質が大きく異なり、岩石や鉱物に対する溶解度や沸点に変化をもたらし、各所に変質や鉱床が生成されました。又、同様の地熱活動の産物である温泉水の起源については、成分や温度等から3つのタイプに区分される」と、手宮地区の温泉は鉱床関連水型、朝里温泉は現海水・化石海水型、市内中心部は深層地下水型、その他の地域は混合型と紹介。
「熱水の科学は複雑な推理小説を解くような醍醐味があります。小樽の温泉にゆっくりと入りながら、火山と熱水の世界に思いをはせ、ロマンにひたってみてはいかがでしょうか」とまとめた。
第2講は15日(日)10:30~12:00、松田義章・北海道札幌稲北高等学校教諭の「小樽の地質と大地の生い立ち」。小樽に産する岩石をもとに、小樽の大地の形成について最新のシナリオが紹介される。
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