飯寿しの鍛冶商店 従業員を全員解雇・破産申請

kaji.jpg 飯寿しなど水産加工品の製造販売で知られる、小樽鍛冶商店が経営に行き詰まり、2月末で全従業員を解雇し、3月中に破産申請することが、本社の調べで分かった。



 株式会社 曲丁 鍛治商店(長橋5・鍛治雅美代表取締役社長・資本金3,000万円)は、1917(大正6)年3月創業で、初代・鍛冶鉄太郎社長が、富山県高岡市から小樽に渡り、魚の小売店として開業した。その後、水産加工業へと移行し、1960(昭和35)年に法人化した。3代続く、小樽の地場産業として活動してきた。本社工場(3,000平米)は長橋にあり、余市にも工場(1,000平米)がある。にしん、紅鮭、はたはた、ほっけの飯寿し・切込・田舎炊きや塩数の子・子持ち昆布などの水産加工品を製造販売してきた。
 鍛治不二夫会長(第2代社長)は、小樽水産加工業協同組合長、小樽物産協会長、商工会議所副会頭、潮まつり実行委員長などを歴任し、市の産業経済部門のけん引役として、2004(平成16)年に小樽市功労者に表彰された。3代目の現社長も、小樽水産加工業協同組合の理事などを務めている。
kaji2.JPG しかし、近年に至り、バブル期に行った投資や経済不況での売上減の中、借金返済に追われ、経営に行き詰った。2月28日(土)付で全従業員48人(正社員12人)を解雇し、3月1日(日)から工場での製造を中止した。
 鍛治雅美社長(54)は、「銀行に勧められたバブル時の投資が、経営の足を引っ張った。石狩の土地やゴルフ室内練習場の借金の返済が大変だった。売上も伸びない中、借金の返済や利息で年3,300万円を支払い、利益がちょんちょんで、当然、足かせとなった。良く借金を支払ってきたなと言われたが約束だから払った。
kaji1.jpg しかし、これ以上、商売しても仕入先に迷惑がかかるし、デパートの年末の案内にも載ってしまうので、2月28日付で従業員に解雇手当を支払い、工場での製造を中止した。これから一般債権者には全額返済するために、全力を上げて在庫商品を売る。3月には弁護士と相談しながら破産申請を行う」と話した。
 解雇された従業員は、「長年に渡って勤めてきたのに、突然、解雇され、目の前が真っ暗闇だ。今後の生活設計も立たず、どうしたら良いか途方に暮れている」と困惑していた。
 同社の負債総額などは現在整理中で、在庫処分などを行い、3月中旬に裁判所に破産申請することにしている。
 「いずしと言えば小樽鍛冶商店 北海道のいずしのブランドです」とPRし、消費者にも受け入れられていただけに、海に囲まれた水産都市小樽にとっても、歴史ある水産加工業者の破綻で、関係者に動揺が広がっている。
 バブル期の投資のツケに追われて破綻するのは、小樽市役所の例もあるが、これがマイカルや丸井今井小樽店など民間業者にも次々及んでいる。最近の小樽グランドホテルや鍛冶商店の破綻で、小樽経済の先行きはさらに一層暗くなっている。
 株式会社 曲丁 鍛治商店
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