市立病院調査特別委開く 改革プランは原案通り


 小樽市議会の市立病院調査特別委員会(成田晃司委員長)が、1月29日(木)13:00から、市役所別館第2委員会室で開かれた。
 市側は、「『小樽市市立病院改革プラン(原案)』に対して提出された意見等の概要及び市の考え方等」と「病院事業会計に対する繰出金」について説明した。
 改革プラン(原案)に対する意見は、8人・1団体から17件寄せられた。
 「~します。目指しますの文言が多く、具体的な方策がない」。「起債や一般会計からの繰入れに依存しすぎ」。「公的病院の数から見ると市立病院は廃院すべき」。「なぜ量徳小学校の敷地に建てないのか不思議だ。築港地区に建設することにこだわっているのでは」など様々な意見が提出された。こちら
 しかし、市は、「改革プランを修正するような意見がなかった」として、2月に北海道を通じて総務省に同プランを原案通り提出することにした。「小樽市立病院改革プラン」(PDF 851KB)
 「病院事業会計に対する繰出金」では、平成19年11月に示した資金収支計画と平成21年1月の改革プランでの計画を比べ、計画変更による増減を表にして提示した。新病院建設に伴う平成21年から25年までの繰出金12億9,300万円が消え、総務省の特例債・18億8,000万円の償還や財政支援のための繰出金が追加されたが、「実際には繰出総額は変わらない」と説明。こちら
 市側の報告に対し、共産党・中島麗子委員は、「市民から廃院すべき、新病院の建設は必要なしなどの意見が寄せられたが、市長はどのような気持ちか。診療科や病床数、医師の数などすべてが流動的なのに、新病院の場所だけは決まっているが、これに変更はないのか」と質問。
 「地域の医療を確保するために市立病院は必要で、2つの病院の老朽化と非効率性に伴う新築統合のスタンスは変わらない」(吉川勝久・樽病事務局長)。「現在の敷地は7,400平米で、病院の本体や駐車スペースなどを確保するには敷地の絶対面積が不足している。現在地のみでは出来ない、平成15年から候補を絞って、築港以外の適地はないと考えてきた」(新病院準備室)。
 山田勝麿市長は、「学校の問題が決着出来ていないが、原則築港地区、何がなんでも築港でなく、柔軟に対応する」と答えた。
 「特例債の返還は、一般会計の負担か、それとも病院の負担なのか」の質問に対し、「病院が返済していくが、元金の償還は一般会計から繰入れ、利息の1億3,600万円も一般会計からの繰入れで行う」(病院事務局)と答弁した。
 「平成21年から25年までの新病院建設関係の繰出金12億9,000万円がなくなったが、平成25年以降になるということか。建設に2年、事務処理で1年以上かかり、開院は平成28年以降になるのか」に対し、「新病院の建設費用は盛り込んでいない。新病院に着手するかは、現病院の経営や再編ネットワーク化によるので、日程がそうなるとは考えていない」(小山秀昭次長)と答弁。
 公明党・高橋克幸委員は、「新病院に関わる繰出金がなくなったが、新築の視点から見て、もし新築することになった場合どうなるか」と質問。
 「現病院の改革プランに伴う繰出金で、経営が改善しないと、新築したいと言われても大変」(財政部)と答弁。
 今回の特別委員会で、市は、改革プランを原案の通り、総務省に提出することになった。このためのパブリックコメントを行ったが、なんらの修正もせずに、単なるセレモニーとして行ったことが明らかになった。
 また、新病院建設のための繰出金12億9,300万円を削除して、実質的には新病院建設は財政的にも不可能なことを認めた。しかし、事務局は、相変わらず市長公約の築港地区での建設を主張するというチグハグな答弁に終始していた。
 総務省の公立病院改革ガイドラインでは、病院会計単独での黒字化を迫られており、一般会計からの繰出金は認めないとしている。しかし、小樽市は、なりふり構わず、今回借り入れた18億8,000万円の特例債とその利息1億3,600万円も一般会計から繰出す市民負担に頼りきっている。
 病院会計のデタラメぶりは、当初予算と12月までの実績との乖離が修復出来ぬほど大きくなっている。病院事業の実態の悪化がデタラメな病院予算をさらに痛撃することになる。こちら
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