60年の長い歴史を持ち、小樽のシンボル・天狗山スキー場で行われている「小学生アルペンスキー大会」が、選手の休憩室や保護者の観覧スペース、大会運営本部の場所確保が困難との理由で、3月の開催が中止されることになった。関係者や市民などは、「小樽のアルペンスキーの伝統的な大会。なんとか開催出来ないのか」と波紋が広がっている。
同大会は、1951(昭和26)年に始まり、約60年の歴史を持つ。当初は、小樽駅裏の三角山で行われていたが、1962(昭和37)年からは天狗山スキー場で開催されている。大会には、五輪代表のアルペンスキーヤーたちが出場するなど、アルペンの登竜門として、市民に親しまれてきた。
今季開催が中止となった理由は、これまで保護者の観覧場所や大会運営本部などに使用してきた同スキー場のロッジが使用出来なくなったからだという。
ロッジは3階建で、1階・地下1階部分はスノースクールの事務所・大広間・休憩スペース、2階部分はレストラン・一般の休憩スペースとして使用されてきた。しかし、2階にあるレストランが昨年11月に閉店したことから、今年1月から「Jerop(ジェロップ)」(上富良野)が2階フロアを賃借し、東南アジアなどの団体客の昼食・休憩スペースなどに利用している。
このため、同大会実行委員会は、競技運営が出来ないとして、1月16日(金)に今季開催を中止することに決め、20日(火)には、市内小学校に中止を伝える文書を流した。
この中止を受けて、天狗山を運営する中央バス観光商事では、「50年以上も継続する大会なのに、会場となっている天狗山スキー場に何も相談もなく中止するということに驚いている。相談を受けたら、大会を開催するための対策をすることが出来た。何も話もなく、場所がないから中止すると決められて心外だ。運営事務所が必要なら、いくらでも設置することが可能。休憩所が少ないというなら、ロッジのほかに、天狗山には山麓館というハウスもあり、そこを管理するスノースクールさんの協力で使用することも出来る」(長太有二専務)と戸惑いを見せている。
アルペンスキー関係者は、「伝統ある大会なので、同じ場所で続けることに意義があると思う」。市民は、「雪国小樽にはスキーがつきもの。伝統的な大会なのに中止になるなんて。絶対続けるべきだと思う」と、波紋が広がっている。
同大会実行委で小樽スキー連盟の青木祐司理事長は、「今回、大会を中止するということで、色々な方にご迷惑をおかけしたので、また中止を撤回するとなるとさらにご迷惑をおかけすると思う。大会を止めるのではなく、今季は中止するということ。今回は、中央バスさんに相談の仕方が足りず、言葉の足りなさもあったので、今後改めて大会を継続するための検討をする」と話している。
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