総務省は、経営悪化する公立病院改革のために、2008年度に限り発行を認める「公立病院特例債」を申請していた道内12自治体全部に認めることが、本社の調べで分かった。
公立病院改革プランに基づく「公立病院特例債」の発行の申請には、全国25道府県の56自治体が、9月に総額500億円超の発行額を総務省に申し出ていた。
提出された各自治体の改革プランを審査していた総務省は、公立病院の経営悪化度が高い道内には、特別の配慮をする必要があるとの認識から、道内12自治体から出ていた136億円の特例債の発行を認めることとし、週明けにも、道に、同意の通知を出すことにしていることが分かった。
道内の自治体では、函館市29.3億、小樽市18.8億、留萌市18.2億、赤平市13.8億、根室市10.5億、苫小牧市9.6億、美唄市8.4億、江別市8.4億、士別市7.0億、白老町4.5億、森町4.2億、松前町3.6億の計136.3億円に上っている。
道内12自治体が、特例債の発行を申請をしたのは、全国で最多の数となっている。それだけ、道内の公立病院の経営悪化度が浮き彫りとなっている。
小樽市は、道内で2番目の額の18.8億円を申請した。市が、11月に出した小樽市立病院改革プランでは、すでにこの18.8億円が織り込み済みとなっている。このため、全額が認められたことで、首の皮一枚がつながった格好となり、最悪の自体は免れ、辛うじて延命することになった。
しかし、特例債は、7年間で償還することになっている。あくまで、借金の借り換えによる繰り延べでしかない。元本18.8億円と利息1.35億円を合わせた20.15億円が、この7年間、一般会計から病院会計に繰り出されることになる。これにより、1億円前後の金で汲々としている市の一般会計は、さらに追い詰められることになった。
総務省公立病院改革懇談会の座長を務め、病院改革プランをまとめた長隆氏は、「特例債では、国は北海道を格別に扱うという方針で、北海道で申請を出したところは全部認めることになり、週明けにも道に通知が出されると聞いている。これは、国が与えた病院改革の最後のチャンスなので、しっかり活かして欲しい。小樽市などは、当面の死刑執行を免れ、これから4年間の執行猶予がついたようなもので、厳しいことに変わりはない」。
特例債の発行が認められることになったことで、小樽市は、現在ある37億円の不良債務を、2010(平成 22)年には解消し、翌2011(平成23)年に経常黒字に出来る机上のそろばんを弾いている。しかし、急減する患者や医師の影響で、病院事業の収支は悪化の一途を辿っており、短期間で経常黒字が出来るかどうかは極めて疑問のところだ。
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