「ふれあいパス」 市民負担110円に 市議会で市長答弁


 小樽市の70歳以上を対象としたサービス「ふれあいパス」制度で、来年度から市内バス運賃の利用者負担が、現行の100円から10円上がり110円に増えることが、9日(火)に開かれた市議会第4回定例会の市長答弁で明らかになった。
 開会中の市議会は、9日(火)に代表質問を続行し、民主・市民連合、平成会、公明党の3会派の代表が質問に立った。
hayasisita.jpg 民主・市民連合の林下孤芳議員は、「ふれあいパスは、70歳以上を対象に、これまで200円の運賃の半額は利用者負担、小樽市は半額のうちの60%、残りの40%を各バス会社の負担で実施されている。今年5月1日から暫定運賃が解除され、市内線は210円に改定され、値上げ分は事業者のみの負担となっているが」と質問。
 山田勝麿市長は、「利用者の負担は、来年度から110円として実施したい」と明らかにした。
 「ふれあいパス」は、中央バス・JRバス・ニセコバスの市内停留所間を「ふれあい回数券」で利用できるパス。70歳以上の市民を対象としており、200円のバス運賃を市が60円・バス会社が40円負担して100円にしている。
 同制度は、1997(平成9)年度からスタートし、当初は利用者の負担はなかった。初年度の対象人数23,392人のうち19,227人が利用し、市の負担は1億4,215万円だった。この後、2003(平成15)年度まで、利用者負担は無料で進められたが、対象者の増加に伴い、市の負担が2億10,23万円に増加した。
 このため、財政難の市は、「対象者は増加傾向で、無料を継続するのは難しい」と、2004(平成16)年度から100円の負担を課した。同年度は、ふれあいパスの掲示で100円のワンコインを支払うだけだったが、利用実態を把握するために、翌2005(平成17)年度からは100円の回数券を10枚つづり1,000円で販売することにした。この利用者負担に伴い、市の負担は、2003(平成15)年度の2億1,023万円から、2007(平成19)年度には1億5,477万円に減少した。
 今年5月、北海道中央バスは、原油価格高騰などを理由に、市内全28路線64系統のバス運賃を210円に値上げしたが、ふれあいパスの10円の値上げ分は、同社が負担していた。この後、同社と市では、この10円を巡り、どちらで負担するかの協議を続けてきたが、11月末に、財政難の市は、結局、老人にこの10円の負担増を押し付けることにした。
 市内では年間25~6万冊の回数券が使用されており、負担分は2,500~2,600万円になるため、市は、この負担分を70歳以上の老人にかぶせ、110円に値上げすることを決めた。この値上げで、利用者の年間の平均使用量は約11冊で、単純計算で一人当たり年間1,100円の負担増になる。
 今年度購入したふれあい回数券は、今後も使用出来るが、支払い時に10円を追加して支払うことになるとしている。関連記事
ohasi.jpg 平成会の大橋一弘議員は、「今年の少雨の影響で、朝里ダムの底が見えるなどの話が出たが、その後は」と質問。
 市長は、「9月の降水量が少なく、これまで経験したことのないほど水位が下がった。小樽土木現業所と協力して、放流調整などを行い、12月8日現在、ダムの貯水は324万立米の73.7%となり、危機的状況を回避した」と答弁。関連記事
saitoyo.jpg 公明党の斉藤陽一良議員は、小樽市立病院改革プランについて、「再編・ネットワーク化を前提とした上で、他の市内医療機関で出来ない役割は何か。将来的に統合新築した病院の姿は」と質問。
 市長は、「再編ネットワーク化協議会では、引き続き検討を行い、来年10月を目途に結論を出すことになった。統合新築を視野に入れた担うべき役割についても、協議会の検討結果を待って判断していくが、市立病院の役割は、他の医療機関で担うことが困難な脳疾患、心疾患診療など第二病院の機能や小樽病院における放射線科や泌尿器科診療、眼科、耳鼻科など、公的病院などにない診療機能を中心に検討していく」と答弁。
 また、「経営効率化の計画は、退職した医師3名の補充と18億8,000万円の病院特例の許可が前提としていて、不調に終わった場合、どのような影響があり、どう対処するか。平成20年度の経営状況が改革プランの収支計画やプラン全体に及ぼす影響は」と質問。
 「今年度退職した医師の補充も含めて、各大学医局へ医師派遣の要請をするなど、診療体制の確保に努めている。特例債については、導入に向けて、北海道を通じて国に対して本市の事情などを鋭意説明し、調整している。20年度の経営状況では、当初予算との比較では、入院収益では2億3,079万6,000円、外来収益では、1億636万5,000円それぞれ下回っている。今後の見通しは、10月までの入院、外来収益は、当初予算比では大きく下回っているが、改革プランで見込んだ計画値をほぼ達成している状況となっており、残された5ヶ月間において、収益の確保、経費の削減に努め、計画を達成してまいりたい」と答弁した。
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