小樽市職員の退職金を民間と比べると1.75倍にもなるとの答弁や、小樽ベイシティ開発「OBC」の固定資産税滞納額は推計17億円で、市税滞納額全体の63%になるとの指摘が、市議会本会議場でなされた。
2日(火)に開会した小樽市議会第4回定例会(12月市議会)は、8日(月)、共産党と自民党の代表質問を行った。
新谷とし議員(共産党)は、金融・経済危機問題、使用料及び手数料の改定、財政問題、小樽市立病院改革プランなどについて質問した。
金融・経済危機問題では、「市内企業の平成16年度以降の倒産実態は」と質した。
山田勝麿市長は、「平成16年度の倒産件数は12件で、負債総額は33億5,700万円、17年度は16件・21億9,200万円、18年度は14件・105億300万円、19年度は22件・29億8,800万円、20年度は11月末現在で21件・79億8,600万円」と答えた。
財政問題では、「第3回定例会の一般会計補正予算で、20年度は14億5,198万円の財源不足となったが、今定例会の補正予算を加えると15億384万円に増加している。これまでの改善の努力は」と質問。
市長は、「市税については、ねばり強くそれぞれの納税交渉に当たり、悪質なケースは積極的に差押えを行うなど取り組みを強化していきたい。使用料や手数料、国民健康保険料、水道料金、下水道使用料などは、収納率の向上に取り組んでいる」と答弁。
また、「市税滞納で大きいのは固定資産税と都市計画税で、市税全体の31億4,761万円の86%となっている。個人市民税の収入率31%に対して、固定資産税は13.4%、都市計画税は13.2%で、中でもOBCの滞納は推計17億円で、全体の63%になる。市長の見解を」と質問。
「OBCの市税の滞納は、従前から納税計画などを提出させ、経営状況を把握しながら、滞納の解消に向け納税交渉を行っておりますが、現在継続中の特定調停の動向にも留意しながら、今後も引き続き解消に向け交渉をしてまいります」と答弁。
「平成19年度の連結実質赤字比率は、早期健全化基準の16.72%を辛うじて下回っているが、平成20年度では、公立病院の特例債が許可されると、どのくらいの違いが出てくるのか」と質問。市長は、「平成20年度の特例債18億8,000万円が、全額認められれば、6%下がる」と答弁。
小樽市立病院改革プランについては、「一般会計による病院への繰出金は、平成21年度から25年度までの5年間で、基本的な繰出金、財政支援、不良債務解消分でそれぞれいくらなのか」と質問。
「5ヵ年では、基本的な繰出金は46億8,900万円、財政支援にかかる繰出金は5億7,000万円、不良債務解消分は26億800万円で、合計78億6,700万円のとなる。このうち、地方交付税措置額は35億1,000万円で、実質負担は43億5,700万円となる」と答弁。
また、「直近3ヶ月の看護師の平均夜勤時間数は」と質問。「小樽病院では、9月65.9時間、10月64.9時間、11月64.7時間。第二病院は、9月70.8時間、10月72.3時間、11月74.2時間。安定的に72時間(一人あたりの月平均夜勤時間数)をオーバーしない体制にするため必要とする人数は、小樽病院が150人で、現員149人で1人不足している。第二病院は85人で、現在80人で5人不足している」と答えた。
山田雅敏議員(自民党)は、財政・経済・建設・厚生・教育問題について質問。
財政問題の中で、財政健全化法に基づく計画について、「健全化判断比率や資金不足比率が、一定の基準より悪化した自治体は、どのような計画を作る義務があるのか」と質した。
市長は、「健全化判断比率が早期健全化基準以上となると、その要因の分析、早期健全化の基本方針のほか、実質赤字額がある場合には、その解消策等についても示すこととなる。また、公営企業の資金不足比率が経営健全化基準以上となった場合も、概ね同様の内容で経営健全化計画を定めなければならない。さらに、財政再生基準以上となった場合には、財政再生計画の中で、歳入の具体的な増収策などについても示し、その計画に基づいて予算を調整しなければならないなど、より厳しいものとなっている」と答えた。
また、市職員の退職金について、「他都市の市職員と民間企業の平均退職金には2倍の差があると聞くが、本市の状況は。退職手当債の導入は、将来の市民の負担を先送りしてるだけ、退職手当債で賄う団塊の世代の退職年度の人数と返済期間、金利負担はいくらか」と質した。
市長は、「平成19年度の小樽市労働実態調査では、市内民間企業の定年時の勤続年数平均は25.8年で、退職金受領額は679万9,300円。一方で、市職員の勤続年数平均は35.6年となっており、モデルケースとして本市職員が民間と同様に26年勤続して退職した場合を試算すると、1,190万9,430円で、1.75倍の支給額となっている。団塊世代の退職者は、今年度末は全会計で54人、来年度・再来年度は同数で62人。財源は、退職手当債を借り入れる予定で、仮に市中銀行から借り入れる場合には通常10年間となっており、金利負担は、今年度の一般会計の借入見込額8億7,700万円をもとに試算すると、10年間トータルで1億2,700万円となる」と答えた。