患者や医者の逃げ出しで、経営悪化する小樽市病院事業の10月の入院外来の患者数・収益の数値が、本社の取材で明らかになったが、それには、わずかひと月で激減する驚くべき衝撃的な数字が並んだ。
病院事業の診療収入の10月分の数値は、小樽病院の呼吸器内科・整形外科・皮膚科などの医者の退職で、収益がさらに悪化すると見られていた。特に呼吸器内科が診療休止した10月以降の数値に注目が集まっていた。このほど、まとめられた10月の数値は、入院・外来の患者数・収益とも、前年同月よりマイナス20%から25%までの2ケタの大幅減少となった。
両院合計の入院・外来の収益は、わずか10月のひと月で、上期(4月~9月)の累計より2倍も高いマイナス数値を示すなど、衝撃的な数字が並んでいる。
10月の両院(小樽病院・第二病院)合計の入院収益は、4億1,499万円で、前年(平成19年)の4億9,339万円より、7,839万円も少ない。これは、今年度4月から9月までの上期の累計で昨年度より減少した3,981万円の約2倍という数値になった。前年同月比では-15.9%と、2ケタの減少を記録した。
また、外来収益では、10月は2億2,572万円、前年差-2,789万円となり、上期累計の-1,404万円の約2倍となった。前年同月比では-11.0%と、これも2ケタのマイナス。
入院患者数では、上期累計の-1,652人を上回る-1,894人を記録。これまた、わずかひと月で、6ヶ月累計を上回った。前年同月比では-14.4%と、2ケタのマイナスとなった。外来患者数は、マイナス2,534人と、前年同月比-13.7%と、2ケタのマイナスを記録した。
10月ひと月で、患者数・収益とも4月から9月の上期を上回る2ケタ減少を記録したことで、平成20年度の当初予算の取らぬ狸の皮算用で計上した6億円のプラスは、すべて吹き飛んでしまう格好となっている。このまま医師減・患者減の影響が引き続けば、年度末までの単純計算で、さらにマイナス約6億円の減少となる。
このままだと、当初予算にプラス計上した6億円と実質マイナス6億円を合わせると、当初予算よりも12億円もの巨額マイナスが発生する可能性が高く、予算に大穴が空くことになる。
この結果は、市の一般会計や市立病院改革プランに大きな影響を与えることになり、市の病院会計は、いよいよ追い詰められることになった。
市は、度重なる病院事業の資金収支計画のやり直しや机上プランの数字いじりで、収支合せに汲汲としているが、現実の冷酷な数値がこの思惑を切り裂いている。あとは、借金の7年間の繰り延べ借り換えの「特例債」頼りだが、病院会計のさらなる悪化で、この返還資金さえままならぬ状態に追い込まれている。こんなにひどい小樽市に、総務省は、特例債を認めるのだろうか。
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