小樽ジャーナルに寄せられた一通のメールが、市や道の重度心身障害者の医療助成の資格認定基準についての取扱いの誤りを見つける端緒となり、各方面に大きな波紋を広げている。
小樽市医療保険部(佃信雄部長)が、28日(金)15:00から、緊急記者会見を開き、「重度心身障害者に対する医療助成の対象となる方について、助成認定基準を誤り、対象としなかった方が61名いることが判明。支払わなければならない助成金額は、現在把握している国保では27名で約600万円」と発表した。
「重度心身障害者医療費助成制度」は、重度の心身障害者(児)に対し、医療費の自己負担分を助成する制度。身体障害者手帳1級および2級ならびに内部障害3級の障害者を対象としている。
この助成基準の誤認定は、2005(平成17)9月に身体障害者手帳の様式が変更されたことが原因としている。様式変更に伴って、新しい手帳には個別の障害名や等級が記載されるようになった。このため、対象者が持つ個別の障害等級を足して算定する総合判定で基準を決めるところ、新たに記載した個別の障害基準だけを見て判定してしまったとしている。
市医療保険部は、変更となった2005(平成17)年と2007(平成19)年に、北海道の担当部署に電話で問い合わせたが、「個別の障害基準で医療助成の対象になるかを決める」と言われたため、このような誤認定が発生したという。「我々の体制に問題はあったが、道の担当者の誤解と説明不足もあった」と指摘する。
今年10月、市民から「全く同じ障害なのに知り合いは医療助成を受けて、自分の母親が受けられないのは差別ではないのか」との疑問の声がメールで小樽ジャーナルに寄せられた。このメールをアップしたところ、市は、早速調査を開始し、本社に回答を寄せた。この後、さらに調査を進めたところ、基準の取扱いの誤りで、医療助成の対象としなかった障害者が市内に61人おり、現在、市が把握している国保加入者27人に対して、最大で約600万円を支払わなければならないことが判明した。
また、この調査によって、「北海道において全道の市町村を対象に調査を行なったところ、本市以外にも取扱いを誤ったところがあることが判明」した。北海道は、同日に札幌で記者会見を開き、小樽市を含む道内4ヵ所で同様の誤りが発生したことを明らかにした。これらの自治体は、いずれも、道に問い合わせたことから認定基準の取扱いを誤ったという。
市医療保険部後期高齢・福祉医療課では、今後、対象者宅を訪問し、お詫びと説明を行い、再度医療助成への申請をお願いすることにしている。
インターネット新聞社に寄せられた一通のメールが、市と道の行政ミスをあぶり出すことになった。今回は、市の担当部・課の取組みもすばやく、約1ヶ月の期間で、自らの取扱いの誤りを見つけ、是正措置までに至ったことは一定の評価がされる。
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