おたる水族館(祝津3)の展示水槽に、鮮やかな紅色の「ベニザケ」が、10月20日(月)から登場し、多くの来館者の目を楽しませている。
同館で展示されている「ベニザケ」は、河川に溯上する産卵期の秋に、名前の通り鮮やかな紅色の婚姻色に変わる。海洋で生活している時は、他のサケ類と同じ銀白色だが、オス・メスが相手を間違わないために変色するという。
天然のベニザケは、アラスカやカムチャッカ半島の河川に溯上するが、日本の河川には溯上しない。このため、国産のベニザケを回帰させようと、独立行政法人水産総合研究センター「さけますセンター」では、国内で試験的に放流を行っている。
今回、同館では、昨年に続き、この放流事業によって道内の河川に溯上したオス5個体を、同センター千歳事業所から借用した。5個体の体長は40~60cmで、水槽の中で群がってユラユラと泳いでいる。
来館者たちは、「ベニザケって、身が赤いからベニザケじゃないんだ。外側が紅色に変色するからなんだ。綺麗だな」と話し、水槽の中を覗き込んでいた。「ベニザケ」の展示は、11月24日(月)の夏期営業終了日まで展示する。
また、同館2階カブトガニ水槽では、珍しい産まれたばかりのカブトガニの赤ちゃん約100個体が展示されている。水槽の中にミニ水槽が設置され、体長約5~6mmの小さな幼生たちを見ることが出来る。
カブトガニは、かたいヘルメット型の甲羅におおわれ、剣のような尾をもつ動物。近縁種が古生代に栄えていたことから、生きた化石と呼ばれている。名前にカニとついているが、クモに最も近い動物。日本では、瀬戸内海と九州の北岸一帯に住んでいるが、生息地が次々に破壊され、環境省の絶滅危惧種に指定されている。
産卵には潮の満ち干きが影響するため、水槽での産卵は極めて稀だが、同館では2回目という。10月初旬に、職員が水槽の清掃中に発見し、23日(木)から展示している。
小さな白いカブトガニの赤ちゃんたちは、足や身体を細かく動かし、来館者の目を引いていた。ミニ水槽の隣には、2年前に産まれて成長した幼生1個体も展示されている。