丸裸にされたプラタナス並木 強剪定まかり通る道道と市道

platanus.jpg 晩秋を迎え、プラタナスの街路樹が黄葉し、落葉の季節となっているが、市内の道道や市道では、10月に入り剪定作業が始まり、緑の葉をつけたままブツ切りにされ、丸裸になった寒々しいプラタナスの姿が目を引いている。



 奥沢水源地から若松町に至る道道・天神南小樽停車場線では、落葉になる前の緑の葉をつけた枝が、バッサリと剪定されてしまっている。これを見た市民からは、「あまりにもバッサリと切りすぎる。落葉もしない前に切るのでは、時期も早すぎるのではないか。もっと別の剪定方法を取るべき」との声が上がっている。
 市内のプラタナスは、道道の4路線で482本、市道では竜宮線・浅草線・入船線・大通線・桂1号幹線など12路線で293本の計775本が植えられている。
 道や市の財政難もあり、年に一度10月から11月までの落葉直前に、伸びた枝をバッサリ切り落とす強剪定を実施している。
 道道を管理する小樽土木現業所では、「財政が厳しいため、年に一度、落葉直前に剪定を行っている。プラタナスは、木の生長が早く、毎年剪定しなければならず、生命力があるので、強剪定しても翌年には復元する。葉が大きく、住民から落葉処分の苦情が多い」。
 市では、「年に伸びた枝を剪定する。落葉による排水の詰まり、スリップなどを防止する。苦情に対処するため」などと理由を述べている。
 しかし、この剪定方法を巡って、小樽市議会でも論議され、日銀通りの浅草線だけは、地域住民が落葉拾いなどに協力することで、枝を残す弱剪定が採用されている。このため、大きく枝を伸ばしたプラタナスの並木が、緑の都市景観を演出している。
 プラタナス(スズカケノキ科)は、街路樹として最もポピュラーな樹種で、世界各国の都市(ロンドン・ミラノ・パリ・上海)でも見事な景観を形作り、環境にも大きな寄与をしている。
 しかし、小樽市の道路では、街路樹による都市景観や環境への配慮が欠けており、丸裸になったプラタナスが、道や市の行政レベル度を示している。
 葉が大きいプラタナスの落葉の処分に対する住民の苦情が多いとの理由で、黄葉しスズカケの実をつける前に、バッサリと剪定する行政と、自ら落葉を片付けることもせず、行政に文句をつける市民との悪循環で、小樽の街路樹は、肩身の狭い思いを強いられている。
 街路樹を大きく育て、鈴懸けの木が連なる都市景観をつくることこそが環境への配慮を見せることにもつながる。
 札幌市の道庁や北大植物園周辺のプラタナス並木の状況を、21日(火)に見たところ、黄葉した葉と枝が大きく伸び、道路を覆っていた。大きなビニール袋を持って、歩道に落ちた落葉を一枚一枚拾う一人の婦人の姿が印象的だった。

小樽 札幌

 
 街路樹のその後とこれから 
 プラタナス
 街路樹が植えられている訳

 街路樹(イチョウ)の透かし剪定

小樽市

小樽土木現業所