2009(平成21)年5月21日からスタートする裁判員制度に合わせ、10月6日(月)13:00~17:00、小樽市民が裁判員となる初めての模擬評議が、札幌地方裁判所小樽支部(花園5)で行われた。
裁判員制度は、2004(平成16)年5月21日の「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」の成立を受けて、2009(平成21)年5月21日から実施される制度。国民が、裁判員として刑事裁判に参加し、被告人が有罪か無罪かを決め、有罪の場合には、裁判官と一緒に刑を決める。
小樽や岩見沢、室蘭、苫小牧などの札幌地方裁判所管内では、市民458人に1人の割合で、裁判員候補者に選ばれる可能性がある。小樽では、法の週間に合わせて、6日(月)に「裁判市民講座」が開かれた。定員15名を上回る20名の参加者で、法廷見学、裁判員制度の解説・質疑応答、模擬評議が行われた。
小樽初の模擬評議では、裁判員裁判の審理をメインに、刑事裁判の姿を分かりやすく描いた映画「審理」を見て、裁判手続に即した冒頭・証拠調べ・弁論の各手続を学んだ。
参加者たちは、抽選で裁判員と補助裁判員役を決めて、別室で裁判官と一緒に、映画の刑事事件について評議を行った。「被告人は被害者、執行猶予にすべき」、「実刑にすべきだ」、「正当防衛は成立しない」など様々な意見が出された。刑についても、懲役3年から8年までの意見が出されたが、最終的に、2班とも多数決で懲役6年の判決を下した。これを受けて、裁判官が、1号法廷で、「被告人を懲役6年に処す」と判決し、判決理由を述べた。
会社員・川村浩一さん(36)は、「被告人を裁く難しさは頭では分かっていたが、自分や他人が見ている観点が違い、色々な意見をまとめていくことは難しいと、改めて実感した。短時間で評決することはいけないと感じた」。
市内在住の主婦・小笠原光恵さん(55)は、「被告人の奥さんが、妊娠3ヶ月といった大事なときだったら、正当防衛でも良いのではないかと思っていたが、被告人が刺す時に、被害者が立ち去ろうとしていたという証人の話を考えて、殺意があったかどうかで判断するしかなかった」と、判決後も頭を悩ませていた。
札幌地裁小樽支部・武笠圭志支部長は、「やられっぱなしで反撃したら殺してしまったので可哀相という意識があったり、あの場なら正当防衛ではとの意見もあった。今回参加した裁判員の結論は、すり合わせたわけではなく、たまたま2班とも同じになった。初めて企画して、色々な感じ方・考え方があることが改めて分かって良かった」と話していた。
裁判員制度がスタートすると、小樽市民も、458人の1人の確率で、札幌地方裁判所管内の裁判員候補者に選ばれ、刑事裁判に参加することになる。その時、小樽市民の裁判員は、どのような判断を下すのだろうか。
映画「審理」は、最高裁判所のホームページで見ることが出来る。こちら
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