市立病院崩壊への足音 半期の収益大幅減


 市立小樽病院と第二病院の4月から9月までの半期の診療収入の数値がまとまった。
 これによると、2008(平成20)年度4月から9月まで半期の集計では、両院の患者数は、入院患者70,833人(前年度比1,652人減)、外来患者99,335人(同4,878人減)となった。医業収益は、入院で26億4,510万円(同3,981万円減)、外来で14億1,070万円(同1,404万円減)となった。
 小樽病院では、収益・患者数とも大きく前年度を下回っているが、第二病院は、収益・患者数ともプラスの数字を示している。樽病の収益・患者数減を二病が懸命に補っている姿が浮かび上がっている。
 両院では、患者数は入院で1,652人の減(前年比-2.3%)、外来で4,878人の減(同-4.7%)。収益は、入院で3,981万2,000円減(同-1.5%)、外来で1,404万8,000円減(同-1.0%)の計5,386万円の減少となった。
 半年の収益では、入院26億4,500万6,000円、外来14億1,070万7,000円の40億5,571万3,000円。年間に換算すると81億1,142万6,000円となる。これは、2008(平成20)年度当初予算の年間収益84億9,400万円から見ると、半期で1億9,128万円、年間では3億8,257万円の減収となる。
 これには、9月末で休止した呼吸器内科や皮膚科医師の退職などは含まれておらず、今後の半年間の収益実態は、さらに大幅に悪化することが見込まれる。
 平成20年度当初予算では、約6億円の収益増で、19年度末の73億8,671万円の累積欠損金を67億8,411万円に減らすとしているが、今回の統計数値では、累積欠損金を減らす余裕は全くなくなったことが分かる。
 一般会計から病院事業会計への繰出しは、平成19年度で16億3,000万円、20年度で17億5,000万円もの巨額な数字になっている。当初予算に合わせるためには、約6億円を一般会計からさらに繰り出さなければならなくなる。しかし、一般会計自体も地方交付税の約2.3億円減収が見込まれており、到底、これらを穴埋めする財源は見当たらない。
 2001(平成13)年度から2007(平成19)年度まで、病院の入院患者数は右肩下がりに下がっている。しかし、市は、2008(平成20)年度は、プラスになるとの机上計算で、ズサンな予算編成したツケが回ってきた。
 巨額借金や4年連続の累積赤字で、四苦八苦している一般会計の親には、赤字まみれで収益の上がらない子の病院会計を助けることが不可能となっている。すでに市は、「何億足りないとかって、親のところにすねかじりに来ても、今の小樽市の財政では、すねをかじる足はない。出せない」 (山田厚副市長)と、共倒れの”親子心中”からの逃げ出しを宣言している。
 この半年間の病院事業会計の数値と相次ぐ医師の退職は、まさに、市立病院崩壊への足音が確実に近づいていることを実感させるものとなっている。
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